マカオ、平均月次カジノ売上2530億円以下で財政赤字に転落=市場低迷長期化、経済財政庁長官が歳出減に言及
- 2015/4/29 10:53
- 産業・経済
マカオでは昨年(2014年)6月から今年3月まで10ヶ月連続でカジノ売上の前年割れとなっている。マカオ政府は歳入のおよそ8割(昨年実績)をカジノ税収に依存しており、カジノ売上の低迷長期化が政府財政に与えるインパクトは大きい。
カジノ売上の低迷長期化を受け、マカオ政府は今年度予算(マカオの予算期は1〜12月)の見直しを行っている。4月1日に可決された修正予算案は、当初予算から歳入が22.4%減の1199.69億パタカ(日本円換算:約1兆7860億円)、歳出が0.05%増の837.61億パタカ(1兆2470億円)で、財政黒字は63.7%の大幅減となる188.52億パタカ(約2810億円)となっている。
歳入のうち、カジノ税収は27.3%減の840億パタカ(約1兆2500億円)で、4年前と同水準にまで逆戻りした格好となる。なお、カジノ税収の根拠となる月次カジノ売上は200億パタカ(約2980億円)と設定している。総歳入に占めるカジノ税の割合は7割で、昨年実績の約8割、今年度当初予算案の7割5分を下回る。
マカオ政府経済財政庁の梁維特長官は4月29日に地元メディアの取材に応じた際、財政収支の攻防ラインについて、平均月次カジノ売上170〜180億パタカ(約2530〜2680億円)との見方を示した。また、170億パタカ以下では赤字に転落となることから、180億パタカとなった時点で緊縮財政措置を導入するとした。コスト削減の内容については、飲食及び対外交流分野に対する補助、政府による購買の削減などを想定しているといい、市民への現金給付、社会保障、公務員給与といった民生分野への影響はないとしている。
今年1〜3月の累計カジノ売上は647.77億パタカ(約9640億円)で、平均200億パタカを上回る。梁長官は、仮に4月の月次カジノ売上が185億パタカ(約2750億円)だったとしても、依然として月平均200億パタカを上回ることから、すぐに緊縮財政を導入する必要はないとしている。なお、昨年の年間累計カジノ売上は3515.21億パタカ(約5兆2330億円)で、月平均で約293億パタカ(約4360億円)だった。
一方、マカオ金融管理局が今年3月に発表した内容によると、マカオの昨年(2014年)12月末時点の財政準備資産総額は暫定統計で2463.4億パタカ(日本円換算:約3兆6670万円)に達した。今年度総歳出の実に3年分にも相当する十分な「貯金」を抱えていることになる。