マカオのカジノ業界、政府が目指す全面禁煙化による売上減と雇用への影響を憂慮

マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年4月まで11ヶ月連続で前年割れとなる中、マカオ政府社会文化庁のアレクシス・タム(譚俊栄)長官は5月12日、政府としてカジノフロアの完全禁煙化を検討していることを明らかにした。現在、マカオのカジノでは、VIPルームが分煙、マスゲーミングフロア(平場)は禁煙だが、フロア内に喫煙ルームが設置されている。

タム長官によると、政府の目指す全面禁煙化とは、VIPルームを禁煙化し、喫煙ルームの設置も認めないとするもの。

VIPルーム業者らで構成されるマカオゲーミング仲介人協会は5月23日、専門家らを招いたカジノ全面禁煙がマカオ経済に及ぼす影響をテーマにしたセミナーを開催。マカオ理工大学経済・公共政策研究所の呂開顔博士は講演の中で、過去に米国・カナダでカジノ全面禁煙化が実施された後、カジノ売上が1-3割下落したこと、ラスベガスとアトランティックシティは対象外だった例などを挙げ、禁煙がカジノ売上に及ぼす影響は明確であるとし、政府に対してマカオ市場の受け入れ能力を十分に考慮する必要があると述べた。

また、マカオゲーミング仲介人協会の郭志忠会長によると、直近1週間でVIPルーム従業員、業界関係者、市民らに対するアンケート調査を実施し、1万2500人から回答を得たという。このうち、実に9割以上が全面禁煙化によるカジノ売上減が雇用に及ぼす影響を憂慮し、喫煙所の設置を認めると回答したとのこと。

マカオゲーミング仲介人協会では、政府に対して喫煙ルームを残すよう請願を行うとしている。

マカオにとって、カジノは屋台骨ともいえる産業だ。マカオ政府の歳入に占めるカジノ税収の割合は昨年実績で約8割、仲介人(=いわゆる「ジャンケット」)及び仲介人パートナーを含むマカオのカジノ業従事者数はおよそ8万人程度いるとみられ、マカオの人口64万人の8分の1、就業人口40万人の5分の1を占める。

マカオ半島からタイパ島方面を望む。奥に見えるのがコタイ地区のカジノIR(統合型リゾート)群(資料)=2015年5月—本紙撮影

マカオ半島からタイパ島方面を望む。奥に見えるのがコタイ地区のカジノIR(統合型リゾート)群(資料)=2015年5月—本紙撮影

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