マカオ人の3割以上がポルトガルパスポート保有=EU市民権付完全版

1999年12月にマカオがポルトガルから中国へ返還されてからすでに15年が経過している。そんな中、依然としてマカオには多くのポルトガル国籍を有する人たちが暮らしている現状が具体的な数字として明らかになった。

マカオの日刊紙「澳門日報」が5月22日付紙面で報じた内容によると、ポルトガルのジョゼ・セザリオ国務長官(在外ポルトガル人コミュニティ担当)が5月21にマカオを訪れた際、マカオにおよそ16万8000人のポルトガルパスポート保有者が存在すると語ったという。マカオの総人口は約64万人、このうち海外からの労働者を除いた「マカオ人(=マカオ永住権保有者)」は約46万人おり、パスポートを取得していない人もいることを考慮すると、マカオ人の少なくとも37%以上がポルトガル籍を有するという計算になる。なお、マカオ在住のポルトガルパスポート保有者の大半が中華系であるという。

かつてポルトガルがマカオを統治していた頃、マカオ生まれの者に対して寛容に国籍を与える措置を講じていたという。20世紀後半から両親の双方またはいずれかがポルトガル籍であるなどの必要条件が加えられ、マカオが中国へ返還されて以降も継承されている。

マカオでポルトガル国籍を有する人たちについても、当然ながら完全なポルトガル市民権、欧州連合(EU)市民権が保障されている。EU加盟国内の居住、就労などの自由、ポルトガル大統領選挙、国会議員選挙、欧州議会議員選挙への投票権もある。

ポルトガルでは2016年初頭に大統領選挙を予定しているというが、投票に参加するためには選挙人登録が必要となる。セザリオ長官によると、16万8000人いるマカオのポルトガルパスポート保有者のうち、登録を済ませた人の数は2500人と極めて少ないとしている。在外ポルトガル人による大統領選、国会議員選挙の投票率が低下傾向にあるといい、今回のマカオ訪問についても、マカオのポルトガル籍保有者に対して選挙人登録及び投票に参加するよう呼びかけるのが目的だったとのこと。

一方、旧英領の香港ではどうか。英国は香港人に対してBNO(海外英国市民)という特殊なパスポートを発給したが、英国永住権がないなど、付帯された権利は制限されたものといえる。また、下の世代へ継承することができず、すでに1997年7月の返還前に登録を締め切っていることから、返還後に生まれた世代はBNOを取得することができない。香港と比較してマカオ社会が安定している背景には、ポルトガル国籍の存在が非常に大きいとされる。

マカオの旧市街地にあるポルトガル総領事館(資料)=2014年6月—本紙撮影

マカオの旧市街地にあるポルトガル総領事館(資料)=2014年6月—本紙撮影

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