マカオ、カジノ全面禁煙化ならVIPルーム従業員5000人の雇用に影響=業界団体、政府に喫煙ルーム設置容認求める
- 2015/7/3 16:11
- カジノ・IR
マカオ政府は、カジノフロアの全面禁煙化を含む「喫煙予防・抑制法」改正案をまとめ、今後、立法会での審議がスタートする。
同法は2012年1月1日に施行され、室内公共場所の大部分が禁煙となった。猶予期間を経て2013年1月1日に対象がカジノフロアに拡大されたが、この際は喫煙可能ゾーンをフロア面積の半分以内とする条件付きの「分煙」だった。その後、2014年10月6日からマスゲーミングフロア(平場)が全面禁煙となり、フロア内に喫煙ルームが設置され現在に至っている。なお、VIPルームについては、現在も例外として分煙となっている。
今回の改正案では、VIPルームを禁煙化し、マスゲーミングフロアを含めた喫煙ルームの設置についても認めないとするもの。
目下、マカオのカジノ売上は昨年(2014年)6月から今年6月まで13ヶ月連続で前年割れとなっている。これに伴い、政府歳入のおよそ8割を占めるカジノ税収も大幅減が続き、今年1-5月の財政黒字は前年同期比で約55%減。こういった状況の中、全面禁煙化によりギャンブラーが競合カジノ国へ流出する可能性も指摘されており、カジノが大黒柱のマカオ経済に与えるマイナス影響が懸念されている。
マカオの日刊紙「澳門日報」が7月3日付紙面で報じた記事によると、マカオのVIPルーム運営業者らで構成されるマカオ・ゲーミング&エンターテイメント・プロモーターズ・アソシエーション(澳門娯楽博彩協会)の郭志忠会長は7月2日、カジノ全面禁煙化はVIPルーム業者に壊滅的な影響を与えるものだとし、カジノ売上のさらなる下落によりマカオ経済や市民の雇用環境にも大損害をもたらすとの懸念を表明したという。
また、業界として政府が推進する喫煙抑制策をサポートする立場であることも強調した上、政府に対して経済、雇用、カジノ従業員の健康を守るため、喫煙ルームの設置を容認するよう求めた。現在、マカオには178社のVIPルーム運営業者がおり、およそ1万人の従業員と2000台のゲーミング(カジノ)テーブルを抱えているとのこと。仮にカジノ全面禁煙化が導入された場合、顧客の海外への流出により売上が3〜5割程度減少、テーブルが600〜1000台クローズすると見込まれ、最大5000人の従業員が給与及び福利厚生の削減、解雇などの影響を受ける可能性があるとした。