マカオ、カジノ低迷長期化で経済停滞も雇用の安定続く=失業率1%台維持、平均月給2ケタ上昇
- 2015/8/9 11:46
- 産業・経済
マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年7月まで14ヶ月連続で前年割れを記録するなど、マカオ経済の屋台骨となるカジノ市場の低迷期に入って1年余が経過した。
目下、マカオ政府の歳入の実に8割をカジノ税が占める。また、マカオの就業人口の5分の1以上がカジノ企業に勤務し、ホテルや観光、小売といった周辺産業も含め、カジノが直接または間接的に多くの市民の生活を下支えしている。昨今の経済停滞の長期化を受け、雇用に対する心配の声も聞かれるようになった。
マカオ政府統計調査局が公表している雇用関連統計によると、マカオの今年第2四半期の失業率は1.8%で、前年同期の1.7%から0.1ポイント後退したが、依然として1%台をキープできている。さらに、就業人口の平均月額給与は1万5000パタカ(日本円換算:約23.3万円)で、実に1年間で15.4%、2000パタカ(約3.1万円)の上昇となっている。
なぜ、低迷期にも関わらず、雇用の安定と給与の上昇が続くのか、気がかりなところだろう。
マカオの日刊紙「澳門日報」が8月9日付紙面でこの件に関する専門家の見解を紹介している。カジノ市場の低迷が続いている中ではあるが、マカオのカジノライセンスを保有する6陣営がいずれも多くの雇用が必要となる大型IRの開発プロジェクトを進めており、人材獲得需要が高い状況にあることが挙げられるという。そのため、失業率1%台という売り手市場において、人材確保のための大盤振る舞いが見受けられるとのこと。カジノVIPルームの売上減などによりカジノ6陣営の業績は芳しくない状態となっているものの、それでも黒字を確保できており、余力があるそうだ。
なお、マカオでは政府が旗振り役となり、カジノ一辺倒からの脱却を目指して産業の多角化や訪マカオ旅客ソースの多源化を図る動きも本格化している。