低迷続くマカオカジノ市場、V字回復困難、回復まで4〜5年かかる=専門家

マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年7月まで14ヶ月連続で前年割れとなっている。マカオ大学ゲーミング研究所の馮家超主任は、カジノ売上がかつての水準に戻るには一定の時間が必要との認識を示したという。

マカオの日刊紙「澳門日報」が8月15日付紙面で報じた。馮主任は、過去最高を記録した2013年のマカオの通年カジノ売上は3600億パタカ(日本円換算:約5兆6016億円)で、月平均にすると300億パタカ(約4668億円)となるが、マカオ政府が掲げる今年の月次目標は200億パタカ(約3112億円)にすぎないと指摘。仮に今後年平均10%程度の安定成長軌道に乗ったとしても、2013年レベルまで回復するには4〜5年を要するとの見通しを示した。

マカオのカジノ売上低迷が長期化していることについて、内的、外的要因が重なった結果としたが、特にかつてマカオのコアコンピタンスといわれた内部システム、マカオで30年以上の歴史を持つカジノVIPルーム仲介人(ジャンケット)制度の弱体化による影響が大きいことを挙げた。ジャンケットそのものをサポートする法的根拠の欠陥により、いわゆるグレーゾーンといわれる規制の枠外でのビジネスが多数存在し、この部分が外的要因による打撃を受けやすいという。

直近のカジノ売上の動向では、マスゲーミング(平場)が3割減、VIPルームが6割減となっている。市場を安定化させる上で、単一個体、単一市場への依存はリスクが高く、今後はマスを中心にマーケットの多源化を図る必要があるとした。

マカオでは今後3〜4年以内に7〜8つの新規大型IR(統合型リゾート)がオープンする予定で、アジアでは他に類を見ない総合リゾート都市へと変貌を遂げる見通し。また、港湾インフラの整備、香港及び中国・珠海とマカオを結ぶ港珠澳大橋の開通も控え、競争力が増大するものと期待されているとのこと。

マカオの大型IR(統合型リゾート)集積エリア、コタイ地区の夜景(資料)=2015年3月(写真:GCS)

マカオの大型IR(統合型リゾート)集積エリア、コタイ地区の夜景(資料)=2015年3月(写真:GCS)

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