マカオ・コタイ地区で建設が進む新規大型IR「スタジオ・シティ」について、今年(2015年)10月27日の開幕が近づく中、施設概要の発表が相次ぎ、徐々に全貌が明らかになりつつある。
運営会社スタジオ・シティ・インターナショナル・ホールディングスの親会社にあたるメルコ・クラウン・エンターテインメントは8月18日、施設内に展開するショッピングモールの概要を発表した。
ショッピングモールの名称は「ザ・ブルバード・アット・スタジオ・シティ」で、延床面積は3万5000平米。国際ファッション・ジュエリーブランド店を中心としたショップ、各国料理レストラン、サービスなど、50を超える店舗が入るという。ラグジュアリーブランドでは、フランスの「BALMAIN(バルマン)」、英国の「BELSTAFF(ベルスタッフ)」、レストランでは山本秀正シェフプロデュースの日本料理レストラン「HIDE YAMAMOTO(ヒデ ヤマモト)」がマカオ初進出となる。モール内では、最新の映像技術を活用したバーチャル・エンターテインメントも楽しめるという。
スタジオ・シティはハリウッド映画をテーマとした大型IRで、カジノ、ホテル、ショッピングモール、多目的アリーナのほか、世界初の8の字型観覧車「ゴールデン・リール」、バットマンをテーマにしたアトラクション「バットマン・ダーク・フライト」、世界的イリュージョニストとして知られるフランツ・ハラレー氏プロデュースの常設型マジックアトラクション「ザ・ハウス・オブ・マジック」など、ファミリー向けレジャー・エンターテイメント要素を多数盛り込んでいるのが特徴的。プロジェクト総工費は32億米ドル(日本円換算:約3976億円)に上るという。
マカオの月次カジノ売上は、昨年6月から今年7月まで14ヶ月連続で前年割れとなっており、低迷が長期化の様相を呈している。今年1〜7月の累計カジノ売上は36.7%減の1402.59億パタカ(約2兆1822億円)。売上減の理由として、中国本土富裕層を中心としたハイローラーと呼ばれるVIPカジノ客の流出が指摘されている。かつてマカオのカジノ売上の7割を占めたといわれるVIPルームだが、直近の統計ではマスゲーミングフロア(平場)とシェアが逆転した。
マカオのカジノ市場が大きな変化を遂げる中で開業を迎えることになるスタジオ・シティだが、レジャー・エンターテインメント要素を多く盛り込んだマスをメインターゲットとの位置付けで、新時代の象徴的存在としてマカオ内外で大きな注目を集めている。