カジノ低迷のマカオ、大型IR「パリジャン」開業時期延期へ=2016年下半期メド
- 2015/8/20 12:59
- カジノ・IR
マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年7月まで14ヶ月連続で前年実績を下回り、市場低迷が長期化の様相を呈している。目下、再開発エリアのコタイ地区では、マカオの経営権を持つ6陣営を中心に大型IR(統合型リゾート)建設プロジェクトが進んでいるが、一部で進捗の遅延が見受けられるとも伝えられている。
マカオの日刊紙「澳門日報」が8月20日付紙面で報じた記事によると、マカオのカジノ経営権を持つ6陣営の一角で、米ラスベガスサンズグループ系のサンズチャイナがマカオ当局に対して新規大型IR「パリジャン」の土地利用時期の延期を申請したという。落成時期は2016年下半期になる見通し。当初の計画では2015年末とされていた。なお、6陣営がコタイ地区において開発を進める大型IRプロジェクトの中で、今回が初めての開幕時期延期となる。
同紙は消息筋の話として、昨今の中国株式市場の株価下落や人民元切り下げなどといった外的不安定要因に対して慎重な姿勢が見受けられるとの見方を延期の理由として挙げている。また、メルコ・クラウン・エンターテインメントの「スタジオ・シティ」が今年10月、ウィンリゾーツの「ウィンパレス」が来年3月の開幕を発表しており、開幕時期の後倒しによる競合回避を図った可能性も指摘されているとのこと。
昨今のマカオのカジノ売上の下落は、主にVIPルームの不振に伴うもの。サンズチャイナは早くからマスマーケット主体のビジネスモデルを構築しており、VIPルームへの依存度が低く、6陣営の中では最も健全な財務体質といわれる。同紙では、マカオの学者はキャッシュフローは今回の遅延の主要因ではないだろうとのコメントも紹介している。
サンズチャイナが昨年12月に発表した内容によると、「パリジャン」はカジノ、客室数3000室規模のホテル、フロア面積49万平米のショッピングモール、コンベンション・エキジビション施設などから成る複合施設。フランスのパリがテーマで、施設正面に敷地内に2分の1スケールのエッフェル塔のレプリカが建てられるという。プロジェクト総工費は27億米ドル(日本円換算:約3346億円)。