マカオ行政長官、市民への現金配布継続に前向き=カジノ不振による緊縮財政下

マカオ経済の屋台骨となるカジノ産業の不振が長期化する中、昨日(9月1日)、今年(2015年)1〜8月のカジノ売上が予算未達となったことが明らかとなり、マカオ政府は即日緊縮財政措置入りを宣言した。

なお、政府は緊縮財政下においても民生分野の予算には手を付けないこと、突発的な経済危機に対応できるだけの潤沢な財政準備資産があることを強調している。

マカオ政府はインフレ対策や富の還元を理由に、2008年から今年まで8年連続で市民に対する現金配布を実施している。今回の緊縮財政入りにあたり、すでに今年度の支給は予定通り実施されることが明言されたが、来年以降の継続の有無が市民の間で大きな関心事となっている。

現金配布の支給金額は2007年から2014年まで段階的に増額され、2015年はカジノ不振の影響で前年と同額に据え置かれた。2015年の支給金額はマカオ特別行政区永久性居民(永久居留権保有者)が9000パタカ(日本円換算:約13.5万円)、非永久性居民(臨時居留権保有者)が5400パタカ(約8.1万円)で、実施にかかる予算は58.35億パタカ(約877億円)程度と見込まれている。

マカオの政府系放送局TDMが9月2日昼のラジオニュースで報じた内容によると、フェルナンド・チュイ(崔世安)マカオ行政長官は同日、個人的な見解と前置きした上、マカオ政府が今年度財政黒字を確保することを楽観視しているとし、来年も現金配布が継続されるとの前向きな見方を示したという。崔行政長官は、緊縮財政下においても、民生プロジェクトと社会保障に関する予算削減は一切ないことをあらためて強調した。この他、仮に今月(9月)のカジノ売上が予算を上回った場合でも、緊縮財政措置は維持する考えを示した。

現金配布をめぐっては、今年3月、経済財政庁のライオネル・リョン(梁維特)長官がカジノ低迷による財政黒字縮小を受け、来年の実施には前向きなものの、減額の可能性及び制度そのものの見直しの検討を必要との考えを示していた。

マカオ政府はカジノ税による潤沢が財源を持つことから、現金配布のほかにも医療クーポン券の配布や家庭用電気料金の補助など、これまで市民が肌感覚で実感できる形での成果の分配を実現する政策を打ち出している。

マカオ特別行政区による現金配布で市民に郵送される小切手の例(写真は2014年度のもの)—本紙撮影

マカオ特別行政区による現金配布で市民に郵送される小切手の例(写真は2014年度のもの)—本紙撮影

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