マカオ、密航者の強制送還数6割増=1〜9月累計1800人超、半数以上がコロアン島・龍爪角から上陸
- 2015/10/8 18:15
- 社会・政治
中国南部の珠江デルタ河口付近に位置する面積約30平方キロメートル、人口約64万人のマカオ。1999年12月20日に中国へ返還され、一国二制度の下、中国の特別行政区となった後も、独自の出入境管理や通関事務を行っている。
マカオ保安庁の黄少澤長官が10月8日に公表した統計データによると、今年(2015年)1〜9月に強制送還の対象となった不法入境者(密航者)の累計が前年同期比64%の大幅増となる1810人に上ったという。黄長官は、今年に入って不法入境者が急増した要因のひとつとして、昨今の中国本土旅客を対象とした渡航制限の厳格化があるとの見方を示した。
なお、不法入境者のうち半数以上がマカオ南端にあたるコロアン島の龍爪角から上陸したといい、警察当局では付近の陸上及び海上における警備体制を強化して対応にあたるとしている。かつて「17秒で越境できる」と言われ、不法上陸の「名所」と揶揄されたマカオ大学横琴キャンパスについては、対策を講じたことで、1〜8月の累計不法上陸数が6件となり、前年同期の51件を大きく下回ったとのこと。
2003年に中国本土から香港、マカオを訪れるための個人旅行者向け入境許可証の発給をスタートしたが、渡航頻度、滞在期限などに制限が多いことなどから、違法な就労や賭博、観光などを目的とした密航やオーバーステイが後を絶たない。不法行為を手引きする蛇頭も暗躍し、超過滞在者の隠れ家となる違法宿泊施設の存在なども社会問題化している。