中国本土ドライバーによる香港免許への書き換え申請激増=「世界中で運転できる」とデマ拡大で
- 2015/10/20 13:24
- 香港・大湾区
海外旅行先でレンタカーを利用するため国際免許証を取得したという話を聞くことがある。国際免許証とは、自身が運転免許を所有する国や地域以外で自動車の運転を可能にするもので、道路交通に関する条約(ジュネーブ交通条約)締結国・地域間相互において有効となる。
日本の警察庁の資料によると、ジュネーブ条約締結国は95、地域は2となっている。このうち、2つの地域は中国の特別行政区にあたる香港とマカオだ。しかし、中国(本土)は締結国に含まれていない。
近年、中国本土では富裕層を中心に自家用車の所有が広がっているほか、海外旅行熱も高まっている。海外旅行へ出かける際、現地でレンタカーを運転してみたいと考える人も増えているようだ。
香港の日刊紙「アップルデイリー」が10月20日に電子版で報じた記事によると、上のような事情を踏まえ、昨今、中国本土では「香港免許を取れば世界中で運転できる」などとする情報がネット上で駆け巡っているという。中国本土と香港特別行政区の間で、運転免許証の相互書き換え制度が存在することが背景にある。中国本土の運転免許を持つ人は、無試験で香港の正式免許を取得することができ、第三者による代理申請も可、香港の住所も要らないとのこと。実際の香港免許の取得費用は10年ライセンスで900香港ドル(日本円換算:約1万4000円)だが、申請代行費や手続きの際に必要となる連絡先住所の提供の名目で高額な料金を上乗せして請け負う代理業者も出現しているという。具体的には中国本土免許から香港免許への書き換え申し込み件数は2014年に8年前の2倍にあたる約3.5万件まで増えたとする統計もあるとのこと。
実際には、香港免許だけで世界中で運転できるわけではない。あらかじめ香港免許をベースに、香港発行の国際免許を取得する必要がある。なお、香港で国際免許証を取得するには、香港居民身分証(香港住民カード)の保有が義務付けられていることから、香港住民カードを持たない中国本土ドライバーは、仮に香港免許の書き換えを行ったとしても、お目当ての国際免許証を手にすることはできない。中国本土の公安当局、香港の運輸当局は不正確な情報にまどわされないよう呼びかけているという。