長い歴史持つマカオのドッグレースが風前の灯=政府が来年にも存続是非判断へ

豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はマカオには競馬、グレイハウンド犬を使ったドッグレース、サッカー及びバスケットボールを対象としたスポーツくじ、ロトといった各種ギャンブルも存在する。

このうち、マカオ特別行政区とドッグレースの独占経営権を持つマカオ逸園カニドローム社との契約が今年(2015年)12月末に満期を迎えるが、11月24日発行の官報で現行契約を来年(2016年)12月末まで1年間延長されたことが明らかになった。

かつてマカオのギャンブルの花形として栄えたドッグレースだが、近年はファンの高齢化、売上の減少、施設の老朽化が進み、さらには動物愛護団体から虐待だとする指摘を受けるなど、存続の是非が活発に議論されるようになった。

マカオ特別行政区のフェルナンド・チュイ(崔世安)行政長官は今年9月、第三者機関(マカオ大学ゲーミング研究所)に対してドッグレース継続の是非に関する学術調査を委託したことを明らかにした。具体的な内容については、数十年の歴史を有するドッグレースをすぐに閉鎖する必要性の有無について、市民からの意見ヒアリング、ギャンブル構成の多元化、ドッグレース場周辺地区の開発適合性といった観点で調査を行うものとし、1年以内にドッグレースの去就が明らかになる見通し。

なお、昨年のドッグレース売上は1億4500万パタカ(日本円換算:約22.4億円)で、カジノの3515億2100万パタカ(5.4兆円)に遠く及ばない規模となっている。

マカオのドッグレースを運営するマカオ逸園カニドローム社はマカオカジノ最大手のSJMホールディングスやマカオジョッキークラブ(競馬)、マカオスロット(スポーツくじ)などを傘下に持つ総合観光・娯楽企業グループSTDM社(本社:マカオ)グループの一員。

マカオ半島北部にあるドッグレース場の入場ゲート(資料)—本紙撮影

マカオ半島北部にあるドッグレース場の入場ゲート(資料)—本紙撮影

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