大型IR建設ラッシュ続くマカオ、ホテル客室供給数1.7倍の5万室超へ=半数占める日帰り旅客の取り込みが鍵

マカオでは新興埋立地のコタイ地区を中心に、大型IR(統合型リゾート)の建設ラッシュが続いている。

マカオ政府土地工務運輸局は11月30日、今年第4四半期(2015年7〜9月)時点で着工済みのホテルが18軒、計画段階のものが33軒あり、これら51軒の合計客室数が2万1000室に上ることを明らかにした。第3四半期末時点で営業中のホテル客室数は3万室となっており、建設中または計画中の数を加えると、およそ1.7倍の5万1000室となる。

今年第3四半期時点で着工済みのホテル18軒の合計予定客室数は1万2132室。エリア別の分布では、マカオ半島が9軒588室、大型IR集積エリアにあたるコタイ地区が6軒1万244室、タイパ島が2軒1064室、コロアン島が1軒236室。いずれも2017年頃までの完成を目指す案件とみられる。

建築計画中のホテル33軒の客室数は8829室。エリア別の分布では、マカオ半島が27軒3354室、コタイ地区が3軒4881室、タイパ島が1軒126室、コロアン島が2軒468室。

21世紀に入って以降、マカオを訪れる旅客数の急増に伴い、ホテル宿泊価格は右肩上がりの上昇を続けてきたが、昨今のホテル開業ラッシュによる供給増を受け、価格は平準化に向かい、9割前後を誇った客室稼働率も8割前後にまで低下している。

目下、マカオを訪れる旅客の約半数が中国広東省や香港といった近場からの日帰り旅客となっており、官民ともに旅客のマカオ滞在時間を延ばし、宿泊需要を喚起することを目標に掲げた取り組みを行っている。また、マカオのホテル客室総数の大半を3〜5つ星ホテルが占めることから、幅広い旅客層の宿泊ニーズを取り込むため、バジェットホテル(格安宿泊施設)の拡充などを求める声も聞かれる。

なお、カジノ売上では米国ラスベガスのおよそ6倍という圧倒的な世界一のポジションにあるマカオだが、ホテル客室供給数では同市の約15万室を大きく下回っている。

大型IR集積エリア、コタイ地区の夜景(資料)=2015年9月(写真:GDI=マカオ政府建設発展オフィス)

大型IR集積エリア、コタイ地区の夜景(資料)=2015年9月(写真:GDI=マカオ政府建設発展オフィス)


多くのホテルが建ち並ぶマカオ半島の中心部(資料)=2015年10月ー本紙撮影

多くのホテルが建ち並ぶマカオ半島の中心部(資料)=2015年10月ー本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  2.  マカオ司法警察局は9月17日、マカオの高齢者を狙った特殊詐欺(電話詐欺)事案に関与したとして中国…
  3.  マカオ治安警察局は9月17日、マカオでロシア人旅客の女2人に対して違法売春活動の支援、手配を提供…
  4.  マカオ司法警察局は9月16日、カジノ施設内外で暗躍する人物らが無認可宿泊施設に滞在しているとの通…
  5.  マカオの道路名表示板といえば、ポルトガル伝来のアズレージョと呼ばれるタイルを用いた趣のある造りで…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  3.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  4.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  3.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  4.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年9月号
(vol.135)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun