マカオのカジノVIPルームプロモーター「ジャンケット」に淘汰の波=当局による監視強化で

マカオのカジノVIPルームプロモーターとして知られるジャンケット事業者が淘汰の波にさらされているようだ。

その背景には、昨年(2015年)9月に発生したVIPルームの内部スタッフによる資金持ち逃げ事件などを受け、当局が会計分野への監視を強化したこと挙げられる。ジャンケット業者のライセンスを管轄するマカオ政府のカジノ監理部門、博彩監察協調局(DICJ)は同年10月16日、ジャンケット業者に対し、新たに会計システム、会計管理スタッフ、資金の所在に関する資料を提出するよう求めた。

DICJのパウロ・マルチンス・チャン(陳達夫)局長は1月13日午前にマカオの政府系放送局TDMのラジオ番組に出演した際、同局が昨年10月に要求した会計資料を期日までに提出できなかった業者が31、金額の大きい取引に関する報告を提出しなかった業者が8(うち4業者が重複)あったとし、同時にこれらの35業者についてはライセンスの更新を認めなかったことを明らかにした。なお、チャン局長によれば、35業者の事業規模は業界全体の0.76%であるという。

また、現在のマカオのジャンケット事業者数は法人が121、自然人が20の計141とのデータも示された。昨年1月28日に公表された数字では183だったことから、減少幅はおよそ23%となる。

DICJが今年1月1日に公表した2015の累計カジノ売上は前年から34.3%減となる2308.4億パタカ(日本円換算:約3兆4000億円)で、2年連続で前年割れとなり、金額は2011年実績をやや下回る水準にまで逆戻りした。また、月次ベースでは2014年6月から2015年12月まで19ヶ月連続で前年割れを記録している。

マカオのカジノ売上の大半を稼ぎ出すのがVIPルームだが、中国本土の反汚職キャンペーンやマカオ当局によるカジノ周辺の規制及び入境制限の強化などを理由に、主要顧客基盤である中国本土富裕層のマカオへの渡航意欲が減退しているとされる中で苦戦が続いており、売上低迷の主要因となっている。

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

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