大型IR建設ラッシュ続くマカオ、ホテル客室供給数1.6倍の5.18万室へ

マカオでは新興埋立地のコタイ地区を中心に、大型IR(統合型リゾート)の建設ラッシュが続いている。

マカオ政府土地工務運輸局は3月10日、昨年第4四半期(2015年10〜12月)時点で着工済みのホテルが16軒、計画段階のものが34軒あり、これら50軒の合計客室数が1.96万室に上ることを明らかにした。マカオ政府統計調査局の資料によれば、昨年第4四半期末時点で営業中のホテル客室数は前年の同じ時期から15.6%増の3.22万室となっており、これに建設中または計画中の数を加えると、およそ1.6倍の5.18万室となる。

昨年第4四半期時点で着工済みのホテル16軒の合計予定客室数は1万738室。エリア別の分布では、マカオ半島が9軒588室、大型IR集積エリアにあたるコタイ地区が5軒9541室、タイパ島が1軒373室、コロアン島が1軒236室。いずれも2017年頃までの完成を目指す案件とみられる。

建築計画中のホテル34軒の客室数は8882室。エリア別の分布では、マカオ半島が28軒3407室、コタイ地区が3軒4881室、タイパ島が1軒126室、コロアン島が2軒468室。

マカオは人口64万人、面積30平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリなどの国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られる。

21世紀に入って以降の訪マカオ旅客数の急増に伴い、ホテル宿泊価格も右肩上がりの上昇を続けてきたが、昨今のホテル開業ラッシュによる供給増を受け、価格は平準化に向かい、9割前後を誇った客室稼働率も昨年通期では前年から6.0ポイント下落となる80.5%にまで低下している。昨年通期の訪マカオ外客数は延べ3071万4628人で、前年から2.5%減だったものの3000万人の大台を2年連続突破した。

目下、マカオを訪れる旅客の約半数が中国広東省や香港といった近場からの日帰り旅客となっており、官民ともに旅客のマカオ滞在時間を延ばし、宿泊需要を喚起することを目標に掲げた取り組みを行っている。また、マカオのホテル客室総数の大半を3〜5つ星ホテルが占めることから、幅広い旅客層の宿泊ニーズを取り込むため、バジェットホテル(格安宿泊施設)の拡充などを求める声も聞かれる。

なお、カジノ売上では米国ラスベガスのおよそ6倍という圧倒的な世界一のポジションにあるマカオだが、ホテル客室供給数では同市の約15万室を大きく下回っている。

サンズチャイナが開発を進める大型IR(統合型リゾート)パリジャンマカオ(資料)=2016年3月、コタイ地区にて本紙撮影

サンズチャイナが開発を進める大型IR(統合型リゾート)パリジャンマカオ(資料)=2016年3月、コタイ地区にて本紙撮影

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