「香港・マカオは地震がない」は本当か?=年平均2回の有感地震を観測、人的被害は報告なし

香港やマカオの市街地には「マッチ棒」と形容される細長い形の高層ビルが密集して建ち並ぶ。こういった町並みを指し、現地在留邦人や日本人観光客は口を揃えて「地震がないからねぇ」と言うが、果たして本当なのだろうか。

記者の香港・マカオ在住歴はおよそ8年になるが、小さな地震の揺れを感じたことは複数回ある。最も記憶に新しいものは3年前の2013年2月22日午前の地震で、マカオ半島旧市街地にある本紙編集部でも、テーブルの上に置いたコーヒーが波打つのがはっきり分かる程度の軽微な横揺れを数十秒間にわたって感じた。マカオの気象台にあたる地球物理気象局の発表によれば、震源地はマカオから約230キロ離れた中国広東省河源市東源県、地震の規模を示すマグニチュードは4.8、震源の深さは11キロだった。この日、同局には多くの市民から揺れを感じたとの報告が寄せられたという。

マカオ地球物理局のウェブサイトの地震情報コーナーを参照すると、歴史的にも地球物理資料的にもマカオは地震頻発地区には属さないとしつつ、マカオの東側には環太平洋地震帯、 西側には雲南・ヒマラヤ山南部地震活動地区などがあり、広東省・南シナ海は過去にマグニチュード6クラスの地震が発生したエリアでもあることから、地理的にそれらの影響を受ける地域であるとしている。

また、20世紀以降に広東省で発生したマグニチュード5以上の地震は1905、1911、1918、1952、 1969、1987年の6回あり、このうち最も規模が大きかったものは1918年2月13日に南澳で発生したマグニチュード7.3クラスの地震とのこと。

香港天文台のホームページにも地震関連の情報が掲載されており、香港では毎年平均2回の有感地震を観測しているというが、地震観測をスタートした1905年以降、一度も人的被害の報告はないとしている。

香港・マカオはいずれも広東省と陸続き。香港とマカオは海を隔てておよそ50キロの位置にある。これまで人的被害がなかったとはいえ、地震の影響が全くゼロではない地域というのが実際のところだ。

高層ビルが林立する香港のビジネス街(資料)=香港島ワンチャイ地区—本紙撮影

高層ビルが林立する香港のビジネス街(資料)=香港島ワンチャイ地区—本紙撮影

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