大航海時代以来、東洋と西洋を結ぶ貿易港として栄えたマカオ。東西文化が見事に融合したエキゾチックな町並みが残るマカオ半島中心部の旧市街(歴史市街地区)にはユネスコ世界文化遺産リストに登録された建築物と広場が30ヵ所も存在する。
このうち、マカオ半島の中心部にある聖オーガスチン教会で5月29日午後、天井の一部がおよそ5メートル四方にわたって崩落する事故が発生した。
マカオの政府系放送局TDMがラジオニュースで速報した内容によれば、天井が崩落した部分はメインホール脇の2階部分の非公開エリアにあたり、通常は教会関係者が使用する部屋だったというが、出入りは少なく、幸いにも負傷者はいなかったとのこと。警察は、建物の老朽化が原因との初期見解を述べたという。現在、教会周辺には規制線が敷かれ、立ち入り禁止となっている模様。
世界遺産を管轄するマカオ政府文化局のウェブサイトを参照すると、聖オーガスティン教会の建物は1874年に大規模改修を経て現在の姿になったこと、主体構造はレンガ造り、天井部分は木造との記載が確認できる。
なお、マカオでは前日(28日)大雨に見舞われていた。
マカオの世界遺産をめぐっては、今年(2016年)1月25日に旧城壁の一部が何者かによって黄色い塗料で着色される事件が発生。その後も、2月5日には盧家屋敷が隣接する建物の壁面が崩落によって破損、2月10日には媽閣廟の正殿にあたる正覚禅林が火災で重大な損傷を受けるなど、受難が続いている。