セントレジスの名物カクテル・ブラッディマリー、マカオご当地版はスパイシーな大航海時代風味

マカオでは、21世紀に入って以降、大型IR(統合型リゾート)のオープンラッシュが続いている。マカオ当局の最新統計によれば、今年(2016年)4月末現在のマカオのホテル数は前年の同じ時期から7軒増となる107軒、客室供給数は13.9%増の3.21万室となっている。

マカオで最も新しいホテルが、昨年12月18日、コタイ地区の大型IR、サンズコタイセントラル内にオープンしたセントレジスマカオだ。セントレジスブランドのホテルとして世界で36軒目、客室数400室は同ブランドで最大規模を誇るという。

セントレジスにまつわる物語といえば、1934年にセントレジスニューヨークの「キングコールバー」のバーテンダーだったフェルナン・プティオ氏が生み出し、レシピを完成させたというウォッカとトマトジュースを使ったカクテル「ブラッディマリー」が有名だ。ブラッディマリーは世界各地のセントレジスに併設のバーで、その地域の特色を反映したご当地版を提供することで知られ、飲み比べをするファンも多いとか。

セントレジスバーのエントランス=セントレジスマカオ-本紙撮影

セントレジスバーのエントランス=セントレジスマカオ-本紙撮影

セントレジスマカオでも、ご当地版のブラッディマリーを用意しているとのことで、ホテルの1階にあるセントレジスバーを訪ねてみた。席に着き、早速ブラッディマリーをオーダーしたところ、スタッフからマカオ版は「マリア・ド・レステ(東方のマリー)」という名前が付けられていると知らされた。

マカオは大航海時代以降、ポルトガルの東アジアにおける拠点港として発展したため、ヨーロッパ、アフリカ、アジア各地の珍しい文物が往来し、東洋と西洋の文化が融合したエキゾチックな都市だ。マリア・ド・レステというエキゾチックなネーミングに期待が高まる。

ほどなくして、マカオ旧市街地で見かけるポルトガル伝来の石畳、カルサーダスをイメージしたトレイに載せられたマリア・ド・レステがテーブルに運ばれてきた。スタッフの説明によると、オリジナルのウォッカとトマトジュースに加え、イベリア半島と大航海時代にポルトガルの船乗りが旅した世界各地の食材で構成されているという。具体的には、アフリカ産のピリピリ(発酵調味料)、インドのシナモンとパプリカ、中国の黒酢と黒ごま、ブラジルのピンクペッパーとライムなど。また、つまみとしてポルトガルのピリ辛ソーセージとポルトガル発祥でマカオ名物にもなっているエッグタルトが付く。ウォッカとタバスコのミニボトルを使って好みの味に調整できるのもマカオならではの特徴という。

セントレジスマカオのご当地版ブラッディマリー「マリア・ド・レステ」-本紙撮影

セントレジスマカオのご当地版ブラッディマリー「マリア・ド・レステ」-本紙撮影

あいにく記者はニューヨークのオリジナルを飲んだことがないのだが、一般的なものと比較すると、かなりスパイシーなものだと感じた。珍しいスパイスを求めて果敢な航海に出かけたポルトガルの船乗りたちの思いがぎゅっと凝縮された味という例えがしっくりくるかもしれない。旧市街地で世界遺産めぐりをした後であれば、カクテルを片手に大航海時代へ思いを馳せてみるのも一興だろう。気になるお会計は108パタカ(日本円換算:約1500円)と、予想していたより手頃だった。(※価格は税・サービス料別途)

ちなみに、日本のセントレジス大阪でも、わさび、ゆず、しょうゆなどを使った和風テイストの「ショーグンマリー」を味わうことができる。大阪城築き天下を統一した豊臣秀吉(将軍)に献上するという意味を込めたネーミングとのこと。

マカオのホテルは宿泊客以外でも利用できる飲食施設に特色あるメニューやサービスを用意しているところも多く、ホテルめぐりそのものが観光要素のひとつとなっている。目下、マカオでは34軒のホテルが建設中で、計画中の17軒を含めて今後数年以内に50以上のニューフェイスが登場する予定。個性豊かなホテルが増えることで、観光地としての魅力が一層上昇することが期待される。

ポルトガルと中国をイメージしたというセントレジスバーのインテリア=セントレジスマカオ-本紙撮影

ポルトガルと中国をイメージしたというセントレジスバーのインテリア=セントレジスマカオ-本紙撮影

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