マカオにミシュラン1つ星獲得「蔦」プロデュースの高級ラーメン店…1杯約2千円=豪華IRウィンパレス内「HANAMI RAMEN」取材記
- 2016/11/6 11:59
- 澳日関係
東京・豊島区巣鴨にある「Japanese Soba Noodles 蔦(つた)」といえば、グルメガイド本「ミシュランガイド東京2016」でラーメン店として世界初となる1つ星評価を獲得したことで大きな話題となった。その名声は世界にも轟いていたようだ。
今年(2016年)8月22日、マカオ・コタイ地区に大型カジノIR(統合型リゾート)ウィンパレスが華々しくオープン。そのショッピングアーケード内に、蔦がプロデュースを手掛ける高級ラーメン店「HANAMI RAMEN」もお目見えした。ウィンパレスの運営会社から蔦サイドへ直々のオファーがあって実現したものという。
オープンから2ヶ月ほどが経過した11月初旬、ようやくHANAMI RAMENを取材する機会を得ることができた。早速、リポートしていきたい。
HANAMI RAMENは巨大なウィンパレスのノースエントランスに近いショッピングアーケードにあり、ふかふかのカーペットが敷かれた通路に面したオープンな店構えとなっている。お向かいはフランスのラグジュアリーブランド、バレンシアガのショップだ。
店内はカウンターがオーバル型に設置されており、座席数は21席。記者が訪問したのは平日の午後9時半頃だったが、およそ半数の座席が埋まっていた。取材中にお客の出入りを見ていると、チャイニーズ系の若い男女や中年の夫婦、スーツを着た欧米人などが、ひっきりなしに入れ替わっている様子が伺え、ファン層は広いようだ。いずれもギャンブラーという感じには見えず、ラーメン目当てでリゾートを訪れたお客のように見えた。
メニューは醤油ラーメンのみで、トッピングの違いで4つの選択肢があり、価格は118〜158パタカ。サービス料10%が加算されることを考慮して日本円換算すると、およそ1690〜2260円となる。日本の常識からすれば非常に高いと感じるが、カジノを併設するワールドクラスのIR施設内であり、景気の良いマカオの物価感覚(日本食=高級のイメージ)からすれば驚くほどではないともいえる。
メニュー表には、ラーメンの醤油スープは地鶏と魚介から作られているそうで、メンマとネギ、自家製麺の味わいを楽しんでくださいと書かれている。蔦の大西祐貴店主のブログを参照すると、さらに詳しい記述があり、「スープは烏骨鶏とロンコンカイの大量の丸鶏にトマトや玉葱などの丸鶏ブイヨンスープに、大量の乾物の濃密和ダシの合わせたダブルスープです。油は鶏油とあぐー脂としめじオイルです。タレは蔦でも使用している和歌山の醤油蔵にご無理を言って特別サイズの淡口醤油を用いたので、ダシがしっかりしないとハマらない構成です。麺は気候を考えて外国産小麦と国産小麦をブレンドしモンゴルかんすいを使用した自家製細麺。チャーシューの豚肉は沖縄あぐー豚です。スープ(ダシ)と麺をメインと考えあえて具材はシンプルにしました。」とのこと。なお、メニューはこの店をプロデュースするにあたってマカオ仕様で開発されたオリジナル版で、日本の蔦にはないものだという。
記者は最も価格の高い「醤油ラーメン、豚ワンタン、味付け卵」をオーダーしてみた。実はこの日、食の取材が続き満腹状態だったのだが、目の前にラーメンが運ばれてきた瞬間、醤油スープのやさしい香りが鼻腔をくすぐり、一気に食欲を復活させてくれた。細麺とスープとの相性も抜群で、一気に平らげてしまった。
実際に食してみて、強気な価格にも納得の満足感を得ることができた。マカオに限らず、海外でこれほどのクオオリティの本格日本式ラーメンを味わえるところはなかなかないだろう。
ちなみに、営業時間は午前11時から午前0時までだが、お店の方によれば、1日に500杯売れることもあるという。
ウィンパレスの親会社は、ラスベガスに本拠地を置く国際リゾート運営大手のウィンリゾーツ社。ラスベガスをファミリーで楽しめるレジャー・エンターテイメント都市として飛躍させた実績から「ラスベガスを変えた男」と称されるスティーブ・ウィン氏がオーナーを務める。ウィンパレスは同氏の肝いりの事業とあって、こだわりが随所に散りばめられているとされる。前述の大西店主のブログには、「スティーブ・ウィン氏が(HANAMI RAMENのラーメンを)3回も食べるほど気に入っていただけたようだ」とのエピソードも紹介されている。