大型IRパリジャンマカオ内で採取の複数サンプルから基準値超えるレジオネラ菌検出=在郷軍人病患者が潜伏期間中に滞在
- 2017/5/14 10:26
- 社会・政治
今年(2017年)4月21日、香港の在郷軍人病(退役軍人病、レジオネラ肺炎)患者3人が発病前の潜伏期間中にマカオの大型IR(統合型リゾート)パリジャンマカオに滞在、宿泊していたことが明らかとなった。患者は66〜84歳の男性で、今年1〜3月にかけて発病したという。
マカオ政府衛生局は、同日から旅遊局の協力を得てパリジャンマカオにおける一連の調査を展開し、同施設に対して予防措置を講じるよう命じた。具体的には、パリジャンマカオの噴水、スパプール、スイミングプール、給水システム等の公共用水域の保守状況調査とサンプル検査を実施。噴水の一時停止及びサウナプール、スイミングプール、給水システムの徹底洗浄と消毒を要求したとのこと。
同局は5月13日、パリジャンマカオの内で採取した78の水のサンプルの検査結果を発表した。このうち、ホテル客室、ロビーのトイレ、スイミングプールのシャワールームなど複数箇所の蛇口からレジオネラ菌を検出したといい、10のサンプルで基準値(10CFU/ml)を超過していたという。また、塩素消毒を行う二次給水システムが正常に作動おらず、塩素不足となっていたことも判明。運営側に対し、二次給水システムの改善及びリゾート内各所の出水口パーツの清掃を求めた。なお、プール、スパ、噴水からはレジオネラ菌は検出されなかったとのこと。改善措置が完了した後、あらためてサンプル検査を実施したといい、結果結果待ちの状態にあるとした。
在郷軍人病はレジオネラ菌が引き起こす伝染病の一種で、菌を含む水が空調などを通じて飛散することによる空気感染すると考えられている。レジオネラ菌は多様な環境下に存在するが、20〜45℃の温水で成長しやすく、水のタンク、スパプール、噴水、家庭で用いられる医療用吸入器などから見つかることも多いとのこと。症状としては、発熱、空咳、呼吸困難、倦怠感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下痢などが挙げられ、抗生物質による治療が可能とのこと。マカオにおける退役軍人病の感染例は、直近10年間で2010年に確認された1例のみという。
パリジャンマカオは米ラスベガスサンズグループのサンズチャイナ社が運営するフランス・パリがテーマの大型IRで、2016年9月にオープンしたばかり。2分の1スケール(約160メートル)のエッフェル塔のレプリカ、供給客室数およそ3000室のホテル、カジノ、ショッピングモール、コンベンション施設、シアター、スパ、ウォーターパークなどで構成される。