マカオ、現役警察官が賄賂受け取り中国本土からの密航者を往来させる
- 2017/8/21 17:55
- 社会・政治
マカオ司法警察局は8月21日午前に緊急記者会見を開き、密航者から賄賂を受け取って非合法な手段で中国本土とマカオの間を往来させたとして治安警察局の出入境管理部門に所属する現役警察官2人らを逮捕したと発表。
司法警察局によれば、今年(2017年)6月に越境犯罪グループがコタイ出入境施設経由で非合法な出入境を行っていることを把握したとのこと。その後の内偵調査で、現役警察官2人が越境犯罪グループにそれぞれ幹部、メンバーとして関わっていることが発覚。8月20日未明、警察官2人、密航ほう助役の男女、警察官に賄賂を渡した密航者3人の計7人の逮捕に成功したという。
密航者は犯罪グループと電話で連絡を取り合い、2人の警察官のシフトに合わせて越境自動車用の検査レーンから出入境していたとのこと。2人の警察官は非合法な出入境1回あたり1〜3万パタカ(日本円換算:約14万〜40万円)の金銭を受け取り、これまで8ヶ月の間に少なくとも延べ10人以上の往来を手助けしていたものとみられる。
司法警察局では、警察官2人を含む7人について、組織犯罪、贈収賄、涜職、職権乱用、犯罪ほう助などの罪で送検する方針。
なお、マカオ治安警察局は声明を発表し、逮捕された2人の警察官を停職とし、懲戒手続き調査に着手したほか、再発防止措置に取り組む姿勢を示した。
マカオは1999年にポルトガルから中国に返還されて以降も独自の出入境管理を行っている。中国本土籍の旅客がマカオを訪れる際、香港マカオ往来通行証と呼ばれる渡航証とビザに相当する渡航許可を取得するのが一般的だが、およそ2〜3ヶ月に1回7日間といったかたちで一定期間内の入境回数や滞在日数などに制限が設けられていることなどから、違法な就労や賭博、観光などを目的とした密航やオーバーステイが後を絶たない。不法行為を手引きする蛇頭も暗躍し、超過滞在者の隠れ家となる違法宿泊施設の存在なども社会問題化している。