マカオ新交通システム、2018年に試運転開始見通し…市民向け試乗会開催も視野=2019年開業目標は不変

今年(2017年)11月初旬、広島県にある三菱重工三原製作所で生産されたマカオ新交通システム(マカオLRT)の営業用列車2編成(計4両)が初めて軌道に搬入され、いよいよ近い将来の開業が現実のものとして実感できる段階に入った。

マカオ初となる軌道系大量輸送機関として大きな期待がかかるマカオLRT第1期プロジェクトはマカオ半島北部の關閘から外港フェリーターミナル、新口岸、南灣湖を経由して媽閣に至るマカオ半島線、媽閣から西灣大橋を経てタイパ島に入り、大型IR(統合型リゾート)が建ち並ぶコタイ地区を通ってマカオ国際空港、タイパフェリーターミナルに至るタイパ線の2線、21駅、21キロメートルで構成される。

このうち、タイパ線(9.3キロ、11駅)が2012年末に先行着工済み。マカオ半島線についてはルート調整が難航するなど、現在まで本格着工に至っていない状況だ。

マカオ新交通システムタイパ線のコタイ東駅付近の様子。周辺には大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶ(資料)=2017年11月8日撮影

マカオ新交通システムタイパ線のコタイ東駅付近の様子。周辺には大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶ(資料)=2017年11月8日撮影

11月27日、マカオLRTプロジェクトを担当するマカオ政府運輸基建弁公室(GIT)の主任及び副主任がマカオの政府系放送局TDMのラジオ番組に生出演し、最新のプロジェクト進捗状況を明らかにした。

GITのホー主任によれば、開業予定時期は従来通りとなる2019年とした。すでにタイパ線の路線部分の架構工事は完成済みで、今年末までに車両基地の屋根部分の主構造工事が完成し、電気機械と列車運行システムの設置が可能になる見通しで、列車についても来年3月までに40編成がマカオに到着する予定となっており、順次静態テストを先行実施。来年には、各駅への電気供給が始まることから、車両の動態テスト、さらには信号システムの確認などを含む試運転段階に入る予定とのこと。試運転段階において、条件付きながら市民向けの試乗会を開催することも視野に入れているとした。

マカオLRT第1期プロジェクトは、国際入札を経て日本の三菱重工と伊藤忠商事の共同体が駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式を46億8800万パタカ(日本円換算:約646億円)で受注しており、マカオの公共工事として日本企業が獲得した最大規模の案件としても注目されている。東京の「ゆりかもめ」と同タイプ(クリスタルムーバー型)の日本製列車がマカオの街を走る予定。

マカオ新交通システムタイパ線の海洋駅に搬入される日本製列車(資料)=2017年11月7日(写真:GIT)

マカオ新交通システムタイパ線の海洋駅に搬入される日本製列車(資料)=2017年11月7日(写真:GIT)

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