マカオのカジノで発生した約6.8億円分のゲーミングチップ強盗事件、ディーラーら2人逮捕…チップの行方は依然不明

マカオ司法警察局は1月19日、同月16日にマカオ半島新口岸地区にあるカジノ、ウィンマカオで発生した巨額ゲーミングチップ強盗事件の容疑者2人を逮捕したと発表した。

逮捕されたのは、同施設に勤務するディーラー職の男(49)と、その叔父(70)の2人。ディーラー職の男はかつて同施設の警備担当として勤務していたこともあるという。

警察発表によれば、事件発生当時(16日午前7時頃)、ディーラー職の男はカジノVIPルームのテーブルを担当していたといい、同じ部屋にいた別の女性ディーラーに対し、伏せて静かにするよう要求した上、自身の担当テーブルにあった4789.5万香港ドル(日本円換算:約6.8億円)相当のゲーミングチップをあらかじめ用意してした袋の中に入れ、制服を脱いでから施設外に移動してバイクで逃走を図ったとのこと。

警察が捜査に着手した後、まもなく男が逃走に使ったバイクがマカオ半島下環地区で発見されたが、中には制服が入っていたものの、チップは見つかった。また、男の足取りを追う中、18日夕方にタイパ島の公園において叔父と会ってチップを受け渡そうとしたタイミングで2人の身柄拘束に成功。ディーラー職の男は約4万パタカ(約55万円)の現金、叔父は2万2500香港ドル(約32万円)の現金と2万0100香港ドル(約28万円)分のチップを所持していたという。

警察の調べに対し、ディーラー職の男は自身の犯行であることを認め、動機は多額の借金を抱えていたためと供述しているものの、チップの行方については黙秘を続けており、叔父は事件への関与そのものを否定しているとのこと。

警察では、2人を強盗罪で送検するとともに、別の仲間の存在やチップの行方について捜査を継続中であるとした。

マカオのカジノ施設でテーブルゲームに参加する際、現金ではなくチップを使用する。チップは少し分厚いコインのような形をしており、額面によって色やデザインが異なるが、いずれも小さく軽い。1枚10万香港ドル(約142万円)以上の高額チップも存在する。

チップはカジノフロアにあるキャッシャーと呼ばれるカウンターで額面の現金と交換することができる。つまり、現金そのもの。マカオのカジノでは、しばしばチップを狙った犯罪が発生している。

なお、この事件に関し、警察が一般公開前の捜査段階でカジノ施設の警備部門に対して情報提供を呼びかける目的で発出した被疑者の個人情報及び写真等を含む機密文書の内容を写真撮影し、SNSに投稿するなどして拡散したとして事件発生現場となったカジノ施設に勤務する人物ら3人が司法機密保持違反で起訴されている。

警察が公開した逮捕時の被疑者2人の所持品等=2018年1月19日(写真:マカオ司法警察局)

警察が公開した逮捕時の被疑者2人の所持品等=2018年1月19日(写真:マカオ司法警察局)

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