マカオ、台風22号の襲来で全カジノが33時間クローズ…約140億円の売上吹き飛ぶ

9月16日に超大型の台風22号(国際名:マンクット)がマカオへ襲来。最高レベルの台風警報となる「シグナル10」が長時間にわたって発令され、マカオにおよそ40軒あるカジノ施設も全面閉鎖となった。

マカオのカジノは、基本的に年中無休の24時間営業。マカオでは昨年8月にも大型台風が襲来し、一部のカジノが水没、停電したことで混乱に陥った経験を生かし、今回は客と従業員の安全を確保するため、マカオ政府とカジノ運営会社の協議の結果、15日午後11時に全面閉鎖することが決定。33時間後の17日午前8時に再開した。マカオのカジノはマカオ政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ6社によって運営されており、全面閉鎖となるのは、2002年に現行のコンセッションが締結されて以来、初めてのこととなる。

マカオのギャンブル行政を管轄するマカオ政府博彩監察協調局(DICJ)が9月17日に発表した内容よれば、一部の施設で台風による被害が確認されたが、復旧準備が整い次第、順次営業を再開できる見通しとした。

マカオ特別行政区の歳入に占めるカジノ税収の割合はおよそ8割にも達しており、全面閉鎖によるカジノ売上へのマイナス影響についても注目が集まっている。今年7、8月の実績数値では、1日平均のカジノ売上はおよそ8億マカオパタカ(日本円換算:約111億円)となっている。カジノ売上は平日よりも週末にかけて上昇する傾向にあることから、土曜深夜から日曜いっぱいを含む33時間の全面閉鎖によるマイナス金額は少なくとも10億マカオパタカ(約139億円)を上回ると予想され、月次ベースではマイナス5%程度の大きなインパクトだ。カジノ税の税率はおよそ40%であることから、単純計算で4億マカオパタカ(約55億円)程度の税収減にもつながる。

経済的にマイナスを伴う判断ではあったが、結果的にカジノ施設の客と従業員の安全を守り、混乱を防ぐことができたことから、地元主要メディアの報道は肯定的に捉えるものがほとんどだった。

再開後のカジノ施設を視察に訪れたDICJのパウロ・マルチンス・チャン局長(右から3人目)ら=2018年9月17日(写真:DICJ)

再開後のカジノ施設を視察に訪れたDICJのパウロ・マルチンス・チャン局長(右から3人目)ら=2018年9月17日(写真:DICJ)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は3月31日、タクシー車内で拾った多額の現金入りの財布を着服したとして香港人の女…
  2.  このほどマカオ政府財政局が公表した最新の財政収支資料によれば、今年(2025年)1〜2月累計の歳…
  3.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は4月1日、今年(2025年)3月の月次カジノ売上(粗収益、…
  4.  マカオ国際空港を拠点とするマカオ航空(Air Macau/NX)は3月31日、モバイルバッテリー…
  5.  マカオ政府文化局(ICM)は3月27日、フランスのピアニスト、ジャン=イヴ・ティボーデ(Jean…

ピックアップ記事

  1.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  2.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  3.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」の新線「横琴線(…

注目記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年4月号
(vol.142)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun