マカオの文化財「漁翁街天后古廟」が無許可で改装工事…文化局が工事停止命令発出
- 2019/2/1 11:33
- 社会・政治
マカオ政府文化局(ICM)は1月31日、同月30日に職員が定期巡回のためマカオ半島北部の漁翁街にあり、マカオの文化財リストに登録されている「漁翁街天后古廟」を訪れたところ、無許可で改装工事が行われていたのを発見。すぐに管理者へ連絡し、工事の停止と説明を求めたという。
その後、ICMと土地工務運輸局による調査を経て、即時工事停止命令が発出された。マカオの文化遺産保護法では、文化財建築物に対する改装工事を実施する場合、事前に当局と意見のすり合わせを行い、許可を得てから着手するよう規定されている。
ICMによれば、ステンレス製のゲートや窓枠などの設置、上下水管の更新などが行われているのを確認し、管理者も過失を認めたとのこと。今回の無許可の改装工事は文化財保護法に抵触する行為で、違反者は行政処分により最大200万マカオパタカ(日本円換算:約2700万円)の罰金が科され、原状回復をする義務が生じるとし、ICMでは、管理者に対して即時工事中止命令を遵守し、早急に原状回復案をまとめるよう求めたとした。
なお、漁翁街天后古廟では2017年11月、敷地内のプレハブ小屋でおよそ150平米が焼ける火災が発生し、一部の仏像に被害が出た。火災の原因はプレハブ小屋の中に設置されていた冷蔵庫の配線ショートによるもので、ICMから廟内の整理整頓の徹底を求められていた。
天后廟はマカオに複数存在するが、1865年に建てられたとされる漁翁街天后古廟はマカオで唯一東側を向いたものとして知られる。
マカオの文化財建築物をめぐっては、今年1月初旬にも「普済禅院(通称:観音堂)」で無許可の改装工事が発覚。寺院側が工事再開を強行したことから、刑事事件に発展するなど混乱が続いている。
ICMでは、マカオの貴重な文化財を厳格に保護するため、今後も監理及び法執行度を強化して臨む姿勢を示している。