マカオLRT鉄道タイパ線に行政長官らが試乗…遅くとも12月19日までに開通見通し
- 2019/7/15 18:34
- 産業・経済
マカオ初となる鉄道(軌道系大量輸送機関)として大きな期待がかかるマカオLRT(澳門軽軌)第1期プロジェクト。
マカオ半島北部の關閘から外港フェリーターミナル、新口岸、南灣湖を経由して媽閣に至るマカオ半島線、媽閣から西灣大橋を経てタイパ島に入り、コタイ地区を通ってマカオ国際空港、タイパフェリーターミナルに至るタイパ線の2線、21駅、21キロメートルで構成される。
このうち、タイパ線の海洋駅とタイパフェリーターミナル駅間(9.3キロ、11駅)が2012年末に先行着工済みで、昨年(2018年)3月末から試運転が始まっている。
先行着工区間の沿線には香港や広東省の深圳市などとの間を結ぶ高速船が発着するタイパフェリーターミナル、マカオ国際空港、広東省珠海市の横琴新区との陸路のボーダーにあたるコタイ・イミグレーションといった陸・海・空の玄関口のほか、大型カジノIR(統合型リゾート)が密集するコタイ地区、著名観光地のタイパヴィレッジ、高層マンションが建ち並ぶ新興住宅街が存在する。
マカオ行政長官事務所は7月15日、同日午前に崔世安(フェルナンド・チュイ)行政長官及び政府高官、検察長、行政會委員メンバーらがコタイ地区にある車両基地を視察に訪れ、基地内にある運転管理センターで自動運転システムの操作、列車運行状況の把握、スケジュール調整といったオペレーションについてなどについて説明を受けた後、試運転列車に乗り、起点から終点までを往復試乗したと発表。
視察の途中、行政長官が開通後の運転時間に関心を示したほか、一行は(タイパ線から分岐する支線として計画中の)石排灣線に設置予定の駅、駅舎及び車両内へのカルチャー・クリエイティブ要素の付加、(すでに供用を開始している)高架駅舎の陸橋の使用状況などについて議論していたとのこと。
気になるタイパ線の開通時期について、今回の視察において具体的な言及はなかったが、運輸工務庁のライムンド・ロザリオ長官が直近でメディアに語った内容によれば、遅くともマカオ返還20周年記念日の前日にあたる12月19日までの見通しという。
マカオLRT第1期プロジェクトは、国際入札を経て日本の三菱重工と伊藤忠商事の共同体が駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式を46億8800万パタカ(日本円換算:約629億円)で受注しており、マカオの公共工事として日本企業が獲得した最大規模の案件としても注目されている。「オーシャンクルーザー」と名付けられた東京の「ゆりかもめ」と同タイプのクリスタルムーバー型の日本製列車(ゴムタイヤ、自動運転)がマカオの街を走る予定。