マカオLRT鉄道タイパ線の東亞運駅で消防訓練実施
- 2019/10/18 16:20
- 産業・経済
マカオ初となる鉄道(軌道系大量輸送機関)として大きな期待がかかるマカオLRT(澳門軽軌)第1期プロジェクト。
マカオ半島北部の關閘から外港フェリーターミナル、新口岸、南灣湖を経由して媽閣に至るマカオ半島線、媽閣から西灣大橋を経てタイパ島に入り、コタイ地区を通ってマカオ国際空港、タイパフェリーターミナルに至るタイパ線の2線、21駅、21キロメートルで構成される。
このうち、タイパ線の海洋駅とタイパフェリーターミナル駅間(9.3キロ、11駅)が2012年末に先行着工済みで、昨年(2018年)3月末から試運転が始まっている。
先行着工区間の沿線には香港や広東省の深圳市などとの間を結ぶ高速船が発着するタイパフェリーターミナル、マカオ国際空港、広東省珠海市の横琴新区との陸路のボーダーにあたるコタイ・イミグレーションといった陸・海・空の玄関口のほか、大型カジノIR(統合型リゾート)が密集するコタイ地区、著名観光地のタイパヴィレッジ、高層マンションが建ち並ぶ新興住宅街が存在する。
マカオ消防局は10月17日、マカオLRTを運営するマカオLRT社(旧マカオ政府運輸インフラオフィス)と合同でコタイ地区にある東亞運(Jogos da Asia Oriental)駅での消防訓練を実施したと発表。
今回の訓練には、消防局とマカオLRT社から約60人が参加。約30人の客を乗せた列車が同駅を発車直後に1両目の車内にある電気キャビネット部から突然防煙が上がり、動力を失って停車したというシナリオで実施された。列車サービススタッフによるコントロールセンターへ状況報告と緊急避難プログラムの発動要請、消防局への通報、乗客を列車から降ろして軌道を経由して最寄駅まで安全に避難させる一連の誘導、負傷者の搬送などの手順と双方の連携などが確認され、事前に想定した目標をクリアし、無事に終了したという。
マカオLRTタイパ線の開通時期については、運輸工務庁のライムンド・ロザリオ長官が遅くともマカオ返還20周年記念日の前日にあたる12月19日までの見通しを示している。マカオLRTでは、10月15日にもコタイ地区にある車両基地において約130人が参加する消防訓練が行われている。マカオ通常、消防訓練は開業を間近に控えたタイミングで実施されることから、いよいよ開通時期が迫ったとみることもできる。
マカオLRT第1期プロジェクトは、国際入札を経て日本の三菱重工と伊藤忠商事の共同体が駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式を46億8800万パタカ(日本円換算:約631億円)で受注しており、マカオの公共工事として日本企業が獲得した最大規模の案件としても注目されている。「オーシャンクルーザー」と名付けられた東京の「ゆりかもめ」と同タイプのクリスタルムーバー型の日本製列車(ゴムタイヤ、自動運転)がマカオの街を走る予定。