マカオの11月カジノ売上 対前年2桁減も…大手金融機関予測=香港情勢の深刻化が間接的に影響

 マカオ政府博彩監察協調局が公表した最新データによれば、マカオの今年(2019年)1〜10月累計のカジノ売上は2467.40億マカオパタカ(日本円換算:約3兆3187億円)で、前年同期比1.8%減だった。

 通期のカジノ売上は昨年まで2年連続で対前年プラスで推移。また、昨年は4年ぶりに3000億マカオパタカの大台を突破した。今年も11月、12月の2ヶ月を残すのみとなり、先行きに関心が集まっている。

 今月(11月)については、香港情勢の深刻化が間接的にマカオのカジノ売上のパフォーマンスに影響を及ぼしそうだという。このほど複数の金融機関が発表したレポートで、11月のマカオのカジノ売上が事前予測を下回ると指摘した。

 クレディスイスのレポートによれば、11月1日から17日までの1日平均カジノ売上は7.29億マカオパタカ(約98億円)で、週を追うごとに下落したとのこと。主な理由として香港情勢が不安定であることから、香港とマカオをセットで巡るパッケージツアーの一部がキャンセルになったこと、14日から17日にかけてマカオグランプリが開催されたことに伴うマカオ内の交通規制によって大口のギャンブラーの出足が後退したことを挙げた。仮に11月の残りの期間の1日あたりカジノ売上が7.2億〜7.7億マカオパタカ(約97億〜104億円)で推移したとしても、月間の売上は前年同月から10〜13%減の218億〜224億マカオパタカ(約2933億〜3014億円)にとどまり、事前予測の6〜8%減を下回る見込みという。下落は主にVIP部門の不振によるもので、31〜33%減を見込むが、マス(平場)部門は安定した成長が続く見通しであるものの、10月に記録した8〜10%増には及ばないだろうとした。10〜13%減となれば、2016年3月以来で最大の下げ幅となる。

 シティとジェフリーズがそれぞれ発出したレポートでも、香港情勢の深刻化が香港・マカオを目的地とした旅客の減少によって11月のマカオのカジノ売上にマイナス影響を及ぼす可能性を指摘。ジェフリーズでは、香港における衝突が悪化しており、香港渡航予定だった旅客のキャンセルが加速すると予想されることを受け、11月のマカオのカジノ売上を事前予測の8〜12%減から10〜13%減に下方修正。シティも香港情勢がより深刻化したことで、広東以外の地域からの香港・マカオへのインバウンドにマイナス影響が及ぶ見込みであり、11月の予測を8%減から10%減へと下方修正した。

 マカオの月次カジノ売上は2014年6月から2016年7月まで26ヶ月連続で前年割れだったが、2016年8月から2018年12月まで29ヶ月連続で対前年プラスを維持。その後、今年に入って以降は1、3、4、7、8、10月がマイナス、2、5、6、9月がプラスとなっている。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2018年2月ー本紙撮影

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2018年2月ー本紙撮影

【資料1】2019年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:249.42億マカオパタカ=約3356億円(5.0%減)
・2月:253.70億マカオパタカ=約3414億円(4.4%増)
・3月:258.40億マカオパタカ=約3477億円(0.4%減)
・4月:235.88億マカオパタカ=約3174億円(8.3%減)
・5月:259.52億マカオパタカ=約3492億円(1.8%増)
・6月:238.12億マカオパタカ=約3204億円(5.9%増)
・7月:244.53億マカオパタカ=約3290億円(3.5%減)
・8月:242.62億マカオパタカ=約3265億円(8.6%減)
・9月:220.79億マカオパタカ=約2971億円(0.6%増)
・10月:264.43億マカオパタカ=約3558億円(3.2%減)
>1〜10月累計:2467.40億パタカ=約3兆3187億円(1.8%減)

【資料2】2013年〜2018年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億マカオパタカ=約4兆8543億円(18.6%増)
・2014年:3515.21億マカオパタカ=約4兆7302億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億マカオパタカ=約3兆1062億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億マカオパタカ=約3兆0036億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億マカオパタカ=約3兆5759億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億マカオパタカ=約4兆0745億円(14.0%増)

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