マカオ、建設中・設計段階のホテルが41軒、約1.1万室分…19年第4四半期=建設ラッシュ続く中で新型肺炎流行による影響も
- 2020/2/17 12:29
- 産業・経済
近年、マカオでは新興埋立地のコタイ地区及びマカオ半島の沿岸地区を中心に大型カジノIR(統合型リゾート)、ホテルを含む複合ビル等の建設ラッシュが続いている。
マカオ政府土地工務運輸局は2月17日、昨年第4四半期(2019年10〜12月)時点で建設中のホテルが16軒、設計段階のものが25軒あり、供給客室数は前者が6814室分、後者が4368室分に上ることを明らかにした。同年第3四半期と前年同時期との供給客室数の比較では、建設中のホテルが1.7%減と横ばい、設計段階が7.4%増と21.5%減。(エリア別内訳は文末のデータ参照)
マカオ政府統計調査局の資料によれば、昨年12月末時点で営業中のホテル数は前年の同じ時期から7軒増の123軒、客室供給数は一部ホテルが改装に入ったことを受け1.4%減の3.83万室となっており、これに建設中及び設計段階の数を加えると、将来的にホテル数が約1.3倍の164軒、客室供給数が約1.3倍の4.95万室となる。
マカオは人口約67万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリなどの国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られ、昨年の年間訪マカオ旅客数は過去最多の約3940万人に上った。
マカオの昨年通期のホテル宿泊客数は前年から1.1%増の1410.4万人、平均客室稼働率は0.3ポイント下落の90.8%だった。近年、大型ホテルの開業が相次ぎ、客室供給数も右肩上がりに増えているが、需要も追いついており、平均客室稼働率は高位をキープしている状況だ。
なお、マカオでは、新型肺炎に対する防疫対策が厳格化された今年1月後半以降、インバウンド旅客数が急減。2月5日からは防疫対策のさらなる強化でマカオの全カジノ施設が15日間の休業に入った。6日以降、宿泊客数減を理由に一時休業を発表するホテルが相次いでいる。これまでに一時休業となったホテルの累計数は3〜5つ星のホテルが11軒、2つ星以下のホテルが18軒の計29軒、客室数合計は約3899室に上る。
旅遊局が2月12日の記者会見で明らかにした内容によれば、(その時点で)営業を継続しているホテルの客室稼働率は16%にまで落ち込んでいるとのこと。年間最大の書き入れ時となる春節ゴールデンウィーク(1月24〜30日)の平均客室稼働率は前年の同じ時期から43.8ポイント下落となる52.9%にとどまり、業界に大きな衝撃を与えたが、以降さらに深刻な落ち込みに見舞われていることがわかる。
このほか、コタイ地区にあるポウサダマリーナインファンテ(4つ星)は1月30日から政府が借り上げ、湖北省からの旅客の隔離施設として使われている。
【資料】
2019年第4四半期時点で建設または設計段階のホテルデータ(エリア別)
<マカオ半島>
・建設中:11軒 1233室
・設計段階:19軒 1099室
<タイパ島>
・建設中:なし
・設計段階:2軒 427室
<コタイ地区>
・建設中:4軒 5570室
・設計段階:3軒 2385室
<コロアン島>
・建設中:1軒 11室
・設計段階:1軒 457室