マカオ、16日連続で新型コロナの新規感染確認ゼロ…カジノ再開も中国本土との往来抑制策次々と
- 2020/2/21 10:54
- 社会・政治
中国・湖北省武漢市で集中発生している新型コロナウイルスによる肺炎について、世界各地で感染拡大に対する懸念が高まる中、中国本土からのインバウンド旅客が多いマカオでも、官民の間で各種防疫対策が進んでいる。
マカオ政府新型コロナウイルス感染対策センターは2月20日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は2月4日のことで、ここまで16日連続で新規感染確認ゼロとなった。これまでの累計患者数は10人で、最初の7人が武漢からの旅客、直近の3人がマカオ人。すでに治癒し退院した人の数は6人に上り、いずれも武漢からの旅客。残る4人についても軽症で、発熱や呼吸困難といった症状はないとのこと。
2月20日からは厳格な防疫対策を講じた上で15日間にわたって一時休業していたカジノ施設の営業が再開可能となり、全41施設中29施設が即営業を再開。また、カジノが一時休業入りした2月5日以降、IR(統合型リゾート)併設の高級リゾートホテルを含む29軒(3899室分)が一時休業に入ったが、カジノ再開を機に16軒(2357室分)が再オープンした。
マカオにおいては、1月27日から武漢市を含む湖北省からの入境を制限(合法医療機関が発行した医師による新型コロナウイルス未感染証明書の提出の必須化及びマカオに滞在中の湖北省旅客の強制隔離)。中国が個人・団体向けのマカオ訪問許可の新規発給をストップしたこともあり、本来なら書き入れ時となる1月後半の春節ゴールデンウィーク前後から入境旅客数が激減した。20日からは新たな防疫対策として、マカオ半島北部の陸路の主要な玄関口にあたる關閘イミグレーション横の体育館、マカオ国際空港に隣接するタイパフェリーターミナルの2ヶ所に「医学検査ステーション」が設けられ、感染リスクが高いとみられる域外からの入境者、流行地区からの入境者を対象(陸・海・空路すべて)に数時間の検査を行い、医師及び看護師による判断によって指定医療機関へ搬送して精密検査を実施するか、そのまま入境を認めるかが判断される措置が講じられている。高リスク者、流行地区の範囲、対象は随時更新されるとしているが、2月20日時点で流行地区とされているのは「広東省、河南省、浙江省、湖南省、安徽省、江西省、江蘇省、重慶市、山東省、四川省、黒龍江省、北京市、上海市」で、マカオ入境14日以内にこれら10省3市に滞在していた場合には、医学検査の対象となる。医学検査の所要時間は6〜8時間、検査忌避はできないルール。さらに、同日からは中国本土からマカオへの越境通勤者の入境制限も実施。
マカオ政府は、一連の春節イベントの中止、世界遺産含む文化施設の一時休館、カジノ・娯楽施設の一時休業といった観光都市としての魅力をあえて消すと同時に、中国本土との往来を物理的に制限すること、マカオ住民に対しても不要不急の外出を控えさせる策などを講じることで、これまでのところ感染拡大の食い止めに成功しているといえる。