マカオ、24日連続で新型コロナの新規感染確認ゼロ…累計患者数10人、うち8人が治癒し退院済み
- 2020/2/29 9:55
- 社会・政治
中国・湖北省武漢市で集中発生している新型コロナウイルスによる肺炎について、世界各地で感染拡大に対する懸念が高まる中、中国本土からのインバウンド旅客が多いマカオでも、官民の間で各種防疫対策が進んでいる。
マカオ政府新型コロナウイルス感染対策センターは2月28日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は2月4日のことで、24日連続で新規感染確認ゼロとなった。
これまでの累計患者数は10人で、最初の7人が武漢からの旅客、直近の3人がマカオ人。累計退院者は8人で、内訳は武漢からの旅客7人とマカオ人1人。武漢からの旅客は退院後すぐに専用車両で中国本土へ戻り、マカオ人についてはは再発症リスクを考慮して自宅へは戻さず、隔離施設へ移送しての経過観察となっている。残るマカオ人2人についても軽症で、発熱や明らかな呼吸困難といった症状はないとのこと。
マカオ政府は1月後半以降、一連の春節祝賀イベントやMICEイベントの中止、世界遺産含む文化施設の一時休館、カジノ及びレジャー・娯楽施設の一時休業(カジノは2月5日から19日まで、レジャー・娯楽施設は同日から3月1日まで)といった観光都市としての魅力をあえて消すと同時に、中国本土及び他の高発生地区(現時点では韓国)との往来を物理的に制限すること、マカオ住民に対しても不要不急の外出を控えさせる策などを講じることで、これまでのところ感染拡大の食い止めに成功しているといえる。
政府新型コロナウイルス感染対策センターでは、24日連続で域内の新規感染確認はなかったが、マカオ周辺地区における流行は依然として厳しい状態にある上、世界各地に流行が広がっており、中でも韓国、イラン、イタリア、さらには日本は深刻だとし、マカオ市民に対して引き続き警戒し、外出、特に不要不急の中国本土との往来を控えること、個人衛生管理に気を配ること、人の集まりを避けることなどを呼びかけている。
域内の状況は落ち着き、一時休業していたカジノやホテルも大半が再開したマカオだが、入境制限を含む厳格な防疫対策を堅持されており、インバウンド旅客は激減したままだ。アジア有数の観光都市とあり、経済的打撃は大きく、試練の日々となっている。
新型コロナによる経済低迷を受け、マカオ政府は2月初旬の段階で毎年恒例で実施しているマカオ居民(マカオ居留権保有者)向けの1人あたり1万マカオパタカ(日本円換算:約13万5000円)の現金配布の3ヶ月前倒し実施のほか、個人及び中小企業向けの各種経済対策の実施することも発表済み。マカオ居民1人あたり3000マカオパタカ(約4万0500円)分の電子商品券配布、家庭用電気及び水道料金の全額補助(今年3〜5月分)、納付済み2018年度職業税(個人所得税に相当)の7割返金及び今年度控除範囲の25%から30%への引き上げなどが挙げられる。さらに、政府備蓄分の放出及び世界各地での購買を通じて2000万枚のマスクを確保した上、マカオ居民及び就労ビザ保有者向けに有償配給制度を用意。10日に1度、1人あたり10枚を原価にあたる8マカオパタカ(約110円)で購入することができ、すでに4回にわたって実施されている。政府は世界各地でのマスクの購買を現在も進められているほか、中国本土に生産ラインを準備しているとしている。
マカオにはカジノ税という財源が存在し、歳出のおよそ5年分にあたる膨大な財政準備を抱えており、これを活用して新型コロナ対応にあたる方針を打ち出している。