マカオ、33日連続新型コロナ新規感染確認なし…入院患者もゼロ=救援機で湖北省から帰還の57人全員陰性、日本含む7ヶ国からの入境者が強制検疫の対象に
- 2020/3/9 9:14
- 社会・政治
中国・湖北省武漢市で集中発生している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地で感染拡大に対する懸念が高まる中、中国本土からのインバウンド旅客が多いマカオでも、官民の間で各種防疫対策が進んでいる。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月8日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は2月4日のことで、33日連続で新規感染確認ゼロとなった。
マカオ域内における累計患者数は10人で、最初の7人が武漢からの旅客、その後の3人がマカオ人。3月6日までに全員が治癒し退院済みで、以降マカオ域内における入院患者ゼロ状態が続く。これまでのケースで重症化、死亡、院内感染はいずれもなかった。
なお、武漢からの旅客は退院後すぐに専用車両で中国本土へ戻り、マカオ人については再発症リスクを考慮して自宅へは戻さず、隔離施設へ移送して14日間の経過観察が行われ、その後は14日間の自宅待機となる。
7日にマカオ政府が用意したチャーター機の第一便で湖北省からマカオに帰還した57人について、マカオ到着後に実施した新型コロナウイルス核酸検査(NAT=Nucleic Acid Test)の結果、全員が陰性だったとのこと。第一便の対象者は武漢天河国際空港へのアクセスが比較的容易な(移動中の感染リスクを考慮)武漢市及びその周辺に滞在し、発熱や咳の症状、医療機関訪問歴、患者との接触歴がいずれもなく、空港まで自力で来ることができるという条件を満たした上、搭乗前の健康検査をクリアした人たちだった。全員がコロアン島にある隔離施設、公共衛生臨床センターに移送され、14日間にわたる医学観察が行われている。隔離施設滞在中、少なくとも3回の検査を実施予定とのこと。なお、湖北省には依然として120人程度のマカオ居民が残っている。
このほか、ドイツ、フランス、スペイン、日本において近日新型コロナウイルス感染症の流行が急拡大しているとし、伝染病予防法の規定に基づき、14日以内に4ヶ国のいずれかに滞在歴があるすべての入境者に対して強制検疫を実施するも同日午前に発表された。
具体的には、3月8日正午以降、イミグレーション施設から市内に設けられた医学検査ステーションに移送され、医学検査を経て入境可否が判断されることになる。検査にかかる時間は約6〜8時間で、検査忌避はできない。また、3月10日正午以降は、検疫レベルが引き上げられ、旅客(非居民)についてはマカオ政府が指定する隔離施設(ホテル)で14日間の医学観察を受ける必要が生じ(マカオ政府または衛生局によるその他防疫措置を講じる可能性も含む)、滞在費用は自己負担となる。マカオ居民(マカオ居留権保有者)は自宅での医学観察も認められるが、間取りなど政府が定める条件を満たす必要がある。
政府は4ヶ国に滞在するマカオ居民が一定数いるとし、検疫レベル引き上げまでにマカオへ戻るよう呼びかけている。日本に滞在中のマカオ人に向け、ローミング中の携帯電話を判別して173通のショートメールを送信したとのこと。8日夜にはマカオ航空の成田国際空港からの直行便がマカオ国際空港に到着し、政府系放送局TDMの報道によれば、乗客26人が空港から専用バスでタイパフェリーターミナルにある医学検査ステーションに移送されたという。
14日以内に韓国、イタリア、イランの3ヶ国のいずれかに滞在歴があるすべての入境者についても、すでに医学観察の対象となっている。また、14日以内に中国本土の「広東省、河南省、浙江省、湖南省、安徽省、江西省、江蘇省、重慶市、山東省、四川省、黒龍江省、北京市、上海市」のいずれかに滞在した旅客が医学検査ステーションにおける医学検査の対象。武漢市含む湖北省については、1月27日から合法医療機関が発行した医師による新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須化されている。
マカオ政府は1月後半以降、一連の春節祝賀イベントやMICEイベントの中止、世界遺産含む文化施設の一時休館、カジノ及びレジャー・娯楽施設の一時休業(カジノは2月5日から19日まで、レジャー・娯楽施設は同日から3月1日まで)といった観光都市としての魅力をあえて消すと同時に、中国本土及び他の高発生地区との往来を物理的に制限すること、マカオ住民に対しても全学校の休校(継続中)や政府窓口の一時休止(3月2日から限定的に解除)を含む不要不急の外出を控えさせる策などを講じることで、これまでのところ流行阻止に成功している。