マカオ、38日連続新型コロナ新規感染確認なし…入院患者もゼロ=不要不急の海外渡航自粛と留学生の帰国呼びかけ
- 2020/3/14 8:54
- 社会・政治
中国・湖北省武漢市での集中発生に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地へ感染が拡大する中、国際観光都市として知られるマカオでも、官民の間で状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月13日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近24時間以内に新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は2月4日のことで、38日連続で新規感染確認ゼロとなった。
これまでのマカオ域内における累計患者数は10人で、最初の7人が武漢からの旅客、その後の3人がマカオ人。3月6日までに全員が治癒し退院済みで、以降マカオ域内における入院患者ゼロ状態が7日間続いている。重症化、死亡、院内感染例はいずれもなかった。
なお、武漢からの旅客は退院後すぐに専用車両で中国本土へ戻り、マカオ人については再発症リスクを考慮して自宅へは戻さず、隔離施設へ移送して14日間の経過観察が行われ、その後は14日間の自宅待機となる。
3月7日にチャーター機で武漢市を含む湖北省から帰還し、14日間の隔離が行われている57人の状況については、マカオ到着後と13日午前に実施した2回の新型コロナウイルス核酸検査(NAT=Nucleic Acid Test)で全員が陰性だったとのこと。隔離期間中に少なくとも3回の検査が実施される予定。
現在、韓国、イタリア、イラン、ドイツ、フランス、スペイン、日本のいずれかに14日以内に滞在歴がある全入境者に対し、マカオ政府が指定する隔離場所で14日間の医学観察(マカオ政府または衛生局によるその他防疫措置を講じる可能性も含む)を義務付ける措置が講じられている。マカオ居民(「マカオ居民IDカード」保有者)は政府が定めた条件を満たす場合に限って自宅での医学観察も認められるが、その他(旅客及び就労ビザ保有者など)についてはマカオ政府が指定するホテルとなり、滞在費用は自己負担となる。
また、14日以内に中国本土の「広東省、河南省、浙江省、湖南省、安徽省、江西省、江蘇省、重慶市、山東省、四川省、黒龍江省、北京市、上海市」、ノルウェーのいずれかに滞在した旅客が医学検査ステーションにおける医学検査の対象。イミグレーション施設から市内に設けられた医学検査ステーションに移送され、医学検査を経て入境可否が判断されることになる。検査にかかる時間は約6~8時間で、検査忌避はできない。武漢市含む湖北省については、1月27日から合法医療機関が発行した医師による新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須化されている。今後、デンマークなど欧州の複数国が検疫の対象となる可能性があるとのこと。
同センターでは、新型コロナの流行が世界各地で急拡大する中、外地における感染リスクが高まっており、外地からの症例の輸入(輸入例)とそれをきっかけにした市中感染リスクが懸念されること、外地において国境封鎖や交通機関の乱れによって移動の制限が生じることでマカオに帰還できなくなることも想定されるとし、居民に対して不要不急の海外渡航を控えること、海外留学先にいる場合は安全な方法で速やかに帰還するよう呼びかけた。海外に留学中のマカオ居民の数は3000人超に上るとのこと。
マカオ政府は1月後半以降、一連の春節祝賀イベントやMICEイベントの中止、世界遺産含む文化施設の一時休館(3月16日から順次再開)、カジノ及びレジャー・娯楽施設の一時休業(カジノは2月5日から19日まで、レジャー・娯楽施設は同日から3月1日まで)といった観光都市としての魅力をあえて消すと同時に、中国本土及び他の高発生地区との往来を物理的に制限すること、マカオ住民に対しても全学校の休校(4月13日から5月4日にかけて順次再開見通し)や政府窓口の一時休止(3月2日から段階的に解除)を含む不要不急の外出を控えさせる策などを講じることで、これまでのところ流行阻止に成功している。一方で、入境制限を含む厳格な防疫対策を堅持されており、インバウンド旅客は激減したままだ。アジア有数の観光都市とあり、経済的打撃は大きく、試練の日々が続く。