マカオ、外国からの全入境者を14日間の隔離検疫の対象に…新型コロナ流入阻止に水際対策強化
- 2020/3/17 10:44
- 社会・政治
中国・湖北省武漢市での集中発生に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、世界各地へ感染が拡大する中、国際観光都市として知られるマカオでも、官民の間で状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月16日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。前日(15日)マカオで11人目となる感染確認者がポルトガルからの入境者であったこと、感染が全世界的に拡大している現状を受け、外国からの流入を阻止する防疫政策に転換するとし、伝染病予防法の規定に基づき、3月17日午前0時から中国(中国本土、香港、台湾)以外の国と地域からのすべての入境者に対し、政府指定場所における14日間の隔離検疫(医学観察)を実施すると発表。3月15日時点では17日午前0時から「36ヶ国」を対象とするとしていたが、状況の変化に応じて拡大されたかたち。(*中国本土からの入境者を対象とした措置については後述)
イミグレーション施設において過去14日以内の滞在地に応じたリスク判定を経て政府指定ホテル、公共衛生臨床センター(コロアン島)、自宅のいずれかに振り分けられ、隔離下で医学観察を受けることになる。入境時の健康診査票に正確な健康状態と過去14日以内の滞在地の情報を記入すること、隔離検疫を受けることは必須であり、違反した場合は刑事責任を負うことになり、強制隔離措置が講じられる。高リスクとされる国・地域に滞在歴がある場合の振り分けは指定ホテルまたは公共衛生臨床センターのみとのこと。
なお、高リスクとされる具体的な国・地域名は明示されておらず、状況の変化に応じて調整されるものとみられる。参考までに、海外全般となる直前に対象とされていた36ヶ国は欧州(オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、スイス、英国、ロシア)、米州(米国、カナダ、ブラジル)、アフリカ(エジプト)、オセアニア(オーストラリア)、アジア(イラン、日本、韓国)。
中国本土向けの措置については、14日以内に「広東省、河南省、浙江省、湖南省、安徽省、江西省、江蘇省、重慶市、山東省、四川省、黒龍江省、北京市、上海市」のいずれかに滞在した旅客が医学検査ステーションにおける医学検査の対象となっている。イミグレーション施設から市内に設けられた医学検査ステーションに移送され、医学検査を経て入境可否が判断されることになる。検査にかかる時間は約6~8時間で、検査忌避はできない。武漢市含む湖北省については、1月27日から合法医療機関が発行した医師による新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須化されている。
本稿執筆時点(3月17日午前10時)のマカオ域内における累計患者数は12人。2月4日までに武漢からの旅客が7人、マカオ人が3人の感染が確認されて以降、40日間にわたって新規感染確認ゼロが続いたが、3月15日にポルトガルから戻ったマカオで就労する韓国人1人(ドバイ及び香港経由)、17日にスペインからビジネス目的で入境したスペイン人1人(モスクワ及び北京経由)と欧州からの輸入例が相次いだ。2月4日以前の感染確認者については、3月6日までに全員が治癒し退院済みで、重症化、死亡、院内感染例はいずれもなかった。
マカオ政府は1月後半以降、一連の春節祝賀イベントやMICEイベントの中止、世界遺産含む文化施設の一時休館(3月16日から順次再開)、カジノ及びレジャー・娯楽施設の一時休業(カジノは2月5日から19日まで、レジャー・娯楽施設は同日から3月1日まで)といった観光都市としての魅力をあえて消すと同時に、中国本土及び他の高発生地区との往来を物理的に制限すること、マカオ住民に対しても全学校の休校(4月13日から5月4日にかけて順次再開見通し)や政府窓口の一時休止(3月2日から段階的に解除)を含む不要不急の外出を控えさせる策などを講じることで、流行を食い止めてきた。