マカオ政府、新型コロナ隔離検疫用に開業前ホテルも活用…既存施設と合わせ6軒1600室超に、外国からの帰還者増に対応

 近日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大する中、マカオ政府は海外からの輸入症例に対する警戒を強め、今週に入って以降、相次いで入境制限を強化している。

 3月17日午前0時から過去14日以内に外国(中国本土・香港・台湾を除く)に滞在したすべての入境者に対して隔離下における14日間の医学観察を必須とし、18日午前からは非居民(マカオ居民IDカード保有者、中国本土・香港・台湾の居民、「ブルーカード」と呼ばれるマカオで就労許可(就労ビザ)を得た者に発給される身分証を保有者以外)の入境が禁止に。さらに、19日午前0時からは前日の措置で入境禁止の対象外だった「ブルーカード」保有者が禁止対象へ変更された。(中国本土対象の措置は後述)

 政府は外国の流行地からの入境者に対して政府指定場所での隔離下における14日間の医学観察措置を実施している。3月19日までは中リスクの国・地域からの入境者で、間取りなど一定の条件を満たした場合に自宅も可としていたが、中リスクとされる地域においても状況が悪化していることを踏まえ、同日以降は指定ホテルに一本化することとなった。

 隔離下で医学観察を実施する指定ホテルは政府が借り上げたもので、近日外国からマカオへ戻る人が増える中、指定ホテルの選定が続いている。政府旅遊局は3月21日夜、新たにタイパ島のマカオ国際空港近くにある「トレジャー・ホテル」(3つ星、400室)を追加したと発表。同ホテルはすでにライセンスを有しているが、未開業という施設。

 指定ホテルは1月30日から使われているコタイ地区の「ポウサダ・マリーナ・インファンテ」(4つ星、298室)のほか、17日からマカオ国際空港に隣接する「ゴールデン・クラウン・チャイナ」(4つ星、300室)、19日からタイパ島の「リージェンシー・アート・ホテル」(5つ星、326室)、20日からコロアン島の「グランド・コロアン・リゾート」(5つ星、208室)、21日からマカオ半島のビジネス街にある「メトロポール・ホテル」(3つ星、112室)と合わせて、6軒体制(客室数合計1644室)となった。今後もしばらくの間、外国からの帰還続くと予想される。

マカオ市政署(IAM)は指定ホテル周辺で消毒作業を強化実施しているとのこと。写真はメトロポール・ホテル周辺=2020年3月21日(写真:IAM)

 ホテルの選定にあたって医療エンジニアによる換気システムのチェック、周辺の建築物及び住民への影響などを考慮しているとのこと。指定ホテルでの医学観察の対象となる人は無症状で感染者と密接接触がない人に限られ、1日1日2回の検温、電話による体調の確認が行われ、発熱や疑わしい症状が現れた場合、即時に医療機関へ搬送して詳しい検査をすることになっているという。

 このほか、中国本土向けの措置として、過去14日以内に「広東省、河南省、浙江省、湖南省、安徽省、江西省、江蘇省、重慶市、山東省、四川省、黒龍江省、北京市、上海市」のいずれかに滞在した旅客が医学検査ステーションにおける医学検査の対象としている。イミグレーション施設から市内に設けられた医学検査ステーションに移送され、医学検査を経て入境可否が判断されることになる。検査にかかる時間は約6~8時間で、検査忌避はできない。武漢市含む湖北省については、1月27日から合法医療機関が発行した医師による新型コロナウイルス未感染証明書の提出が必須化されている。

 本稿執筆時点(3月22日午後0時)のマカオにおける累計患者数は19人。2月4日までに武漢からの旅客が7人、マカオ人が3人の感染が確認されて以降、40日間にわたって新規感染確認ゼロが続いたが、直近1週間で中国以外の海外からの輸入症例が相次いでいる。2月4日以前の感染確認者については、3月6日までに全員が治癒し退院済みで、重症化、死亡、院内感染例はいずれもなかった。目下、隔離病床で入院治療中が9人。

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