マカオ、70日連続で新型コロナ新規感染確認なし…入院患者もゼロ=在外居民の帰還計画開始、香港国際空港との間に高速船を特別運航

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大する中、国際観光都市マカオでも、状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月17日午後5時(現地時間、以下同)から定例記者会見を開催。同センターによれば、直近で新たな新型コロナウイルス感染確認例はなかったとのこと。マカオにおける直近の新規感染確認は4月8日のことで、実に70日連続で新規感染確認ゼロとなり、2〜3月中旬にかけて達成した「40日連続」の記録を大きく更新中。輸入関連性症例に限ると81日連続ゼロだった。

 また、これまでの累計感染確認者数(入院)は45人(輸入性症例43人、輸入関連性症例2人)で、5月19日までに全員が治癒し退院済み。死亡例もゼロを達成している。

 マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。入院期間は平均3〜4週間、退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設(高頂公共衛生臨床センター)の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする多重の安全措置が講じられている。市中感染も発生していない。

 マカオの新型コロナ指定医療機関(2施設)には陰圧病床が232床あり、人工呼吸器72台、人工心肺装置(ECMO)3台を擁し、設備、医療スタッフとも充足した状態で乗り切ることに成功。院内感染例もなかった。

 マカオで新型コロナ入院患者がゼロ状態となったのは3月7〜14日以来の2度目のこと。前回は武漢からの旅客らの退院と流行が欧米やアジア各地へ拡大したことを受けての数千人規模の帰国ラッシュの狭間にあたる時期だった。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2020年6月17日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 なお、マカオ政府は在外マカオ人の帰国希望に応えるため、6月17日から7月16日にかけてマカオと香港国際空港を結ぶ高速船を特別運航することを決定。帰国希望者の滞在先には、新型コロナ高流行エリアも含まれることから、衛生局では3月下旬から4月上旬にかけての帰国ラッシュ時と同様、帰国者数の一定の割合で輸入例が確認されることもあり得るとししている。ただし、帰国者は現行の措置に沿ってマカオ到着後はイミグレーションから直接隔離検疫へ移送されるため、市中感染につながるリスクは低いとみられる。香港国際空港からマカオへ向かう特別便は事前登録を済ませたマカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)のみ搭乗可、マカオから香港国際空港へ向かうものについては香港国際空港発のフライトで現居地へ帰還するマカオ在留外国人用となる。

 高速船運航初日の初便は午後2時に香港国際空港を出発し、到着予定時間よりやや早くマカオへ到着。乗客は48人だったとのこと。政府は事前登録状況を基に、1ヶ月間で帰還する在外マカオ人の数が1000人超に上ると見込んでおり、うち約400人が留学生だとした。

 このほか、近日の北京において新型コロナ流行状況に変化があったとし、17日正午から直近14日以内に北京訪問歴のある入境者に対する14日間の政府指定場所における隔離検疫措置が導入される。記者会見時点までに対象となる入境者が2人いたとのこと。

 マカオでは今年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられている。海外からの輸入症例を阻止するため、3月後半以降、水際対策が一層強化され、現在まで維持されている。市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬にマスク有償配給制度の立ち上げ、毎年恒例で実施している市民への現金配布の前倒し実施や電子商品券の配布といった民生、経済支援対策も実施している。

在外居民を載せて香港国際空港からマカオ・タイパフェリーターミナルへ到着した特別運航の高速便の初便=2020年6月17日(写真:GCS)

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