マカオ、8月のホテル客室稼働率13.3%…対前年79.7pt下落…コロナ禍でインバウンド旅客激減=1〜8月累計68.1pt下落の23.5%

 マカオは人口約69万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオ政府統計調査局発表資料によれば昨年(2019年)通期の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は前年から10.1%増の延べ(以下同)3940万6181人で、3000万人の大台を6年連続突破するとともに、3年連続で最多記録を更新。しかしながら、今年(2020年)1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限が講じられたことを受け、インバウンド旅客数は激減。世界的な流行拡大に伴い、3月下旬からは水際対策が一層強化された。8月のインバウンド旅客数は前年同月から93.7%減の22万7113人。1〜8月累計では前年同時期から87.0%減の357万0019人にとどまった。国際観光都市マカオはかつてない逆風に晒されている。

 マカオ政府統計調査局は9月29日、今年8月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として政府が借り上げたホテルの客室分は含まず、以下同)は13.3%で、前年同月から79.7ポイント(pt)の大幅下落となった。前月からは1.2pt上昇。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から83.8pt下落の11.2%、4つ星が74.6pt下落の16.8%、3つ星が74.6pt下落の18.4%、2つ星ホテルが60.9pt下落の14.6%、ペンサオンが50.9pt下落の13.1%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が10.4%減、4つ星ホテルが19.3%減、3つ星ホテルが変動なし、2つ星ホテルが12.3%増、ペンサオンが25.1%増だった点も考慮する必要がある。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

 今年8月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から2軒減の117軒、供給客室数は9.7%減の3.47万室あり、このうち5つ星ホテルが2軒減の34軒で、供給客室数は全体の63.4%を占める2.20万室。

 今年8月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から85.5%減の18.4万人。ホテルがマカオ市民向けの優待価格を用意してステイケーション需要の掘り起こし努力などもあり、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)の宿泊者数が137.0%増の12.4万人に達し、宿泊客数全体の67.4%を占めた。対前月でも52.4%増。一方、中国本土旅客は4.4万人、香港旅客は1.1万人で、いずれも9割超の減少。このほか、マカオと中国本土の間の水際対策が緩和されたことを受け、一時的にマカオのペンサオンに居を移していた越境通勤者の多くが元の生活に戻ったことから、ペンサオンの宿泊需要が低下した。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.1日短い1.4日に。

 今年1〜8月累計のホテル客室稼働率は前年の同じ時期から68.1pt下落の23.5%、ホテル宿泊客数は77.0%減の216.7万人、ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.2日延びて1.7日。

 参考までに、マカオの昨年通期の平均客室稼働率は90.8%だった。

 マカオ経済はインバウンド依存度が高い。昨年の総インバウンド旅客に占める中国本土旅客の割合は約7割だった。このところマカオ域内及び中国本土における新型コロナの流行状況が落ち着いたことを受け、7月15日から両地の間で水際対策が一部緩和(新型コロナウイルス核酸検査の陰性証明書の提示などの条件付きで14日間の隔離検疫を免除)された。また、中国広東省珠海市居民及び広東省居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の申請がそれぞれ8月12日、26日から再開。9月23日には中国本土全域に拡大した。今後、段階的に中国本土からのインバウンド旅客の回復が見込まれることから、ホテル客室稼働率の上昇も含めた経済効果が期待されている。ただし、外国人の入境禁止緩和については未定とされたまま。

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