マカオ、180日連続新型コロナ新規感染確認なし…輸入関連性症例に限ると269日連続=水際措置と域内防疫策の強化も進む

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは12月23日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。マカオ域内における新型コロナウイルス新規感染確認は180日連続ゼロ、輸入関連性症例に限ると実に269日連続ゼロだったとのこと。

 これまでの累計退院者数は46人で、7月17日までに全員が退院済み。3月7〜14日と5月20日〜6月25日に続いて新型コロナ流行下で三度目かつ最長の入院患者ゼロ状態に入っている。

 目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。すでに、中国本土の一部の中リスク地域(状況に応じて随時アップデートされる)を除き、隔離検疫なしでの往来が可能となっている。

 一方、英国で感染力の高い変異種が出現したこと、世界各地で14日間の隔離検疫後に感染が確認される例が相次いでいることなどを受け、近日相次いで水際措置が強化された。

 12月21日午後10時から中国本土及び台湾以外からの入境者に対する隔離検疫措置について、従来の14日間から21日間に延長。また、12月23日午前0時以降、マカオ入境前21日以内に外国に滞在歴のあるすべての中国本土、香港、台湾居民のマカオ入境が禁止に。ただし、公共の利益(中でも疾病予防と治療、緊急救助)、マカオの正常運営と居民の基本生活維持に必要な例外的状況に限り、マカオ政府衛生局が入境を許可する場合があるとした。これに加えて、12月1日からスタートしたマカオ入境前に中国本土滞在歴のある中国本土、香港、台湾居民身分を持たない非マカオ居民(=多くの外国人がこれにあたる)を対象とした事前入境申請受付についても要件を変更。これまで、要件のひとつとしてマカオ入境前「14日間以上」中国本土に滞在していることとされたが、これが「21日以上」となった。その他の条件として、家族の集合やマカオと密接な関係があることなどを証明する必要があり、衛生局が申請を受理した後、個別に審査した上で可否判断が行われる。現在、この方法を以外で外国人の入境はできない。なお、外国人の場合でも、有効なマカオ居民身分証あるいは香港永久性居民身分証を保有している場合は、それぞれマカオ居民、香港居民として扱われる。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2020年12月23日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオでは無症状であっても検査で陽性であれば感染確認者と見なされ、指定医療機関に入院して治療を受けることになっている。入院期間は平均3〜4週間、退院後も再発症リスクを考慮して隔離施設(高頂公共衛生臨床センター)の陰圧病室で14日間の経過観察、その後も14日間の自宅待機を必須とする多重の安全措置が講じられている。多重の防疫措置に加え、設備、医療スタッフとも充足。これまで市中感染、院内感染例とも発生しておらず、死亡例もゼロを達成している。

 今年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられており、市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬にマスク有償配給制度の立ち上げ、毎年恒例実施している市民への現金配布の前倒しや電子商品券の配布といった民生、経済支援対策にも乗り出している。12月28日から25回目のマスク販売期がスタートする予定。第19回までが10日に一度だったが、第20回以降は30日間の実施となっており、30枚1組で24マカオパタカ(日本円換算:約320円)。1枚あたり単価は初回から変わっていない。現在進行中の第24回の販売枚数は約810万枚、初回からの累計は約1.7億枚に上るとのこと。

 このほか、公共施設やホテル等への入場の際に提示が必要となる「マカオ健康コード」(政府衛生局の専用サイト上で直近の滞在歴、新型コロナ患者との接触歴の有無、発熱や咳といった症状の有無、連絡先を入力して生成されるQRコード)について、来年(2021年)1月7日からマカオにおける住所またはマカオにおける主な活動場所(いずれもマンション名、ビル名までとし、階数と部屋番号は不要)の記載を必須化するこおも発表された。今後、域内で感染確認例が見つかった場合の追跡や同一エリアに滞在していた人を把握し、より確実かつ迅速な防疫措置を講じるためと説明している。

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は11月22日、違法薬物密売及び使用の疑いで香港人の女(37)を逮捕したと発表。…
  2.  マカオ・コタイ地区にある複合リゾート「リスボエタマカオ(澳門葡京人)」併設のショッピングアーケー…
  3.  在香港日本国総領事館は11月22日、同月14日に澳門日本会に対する在外公館長表彰授与式が執り行わ…
  4.  マカオ市政署(IAM)は11月21日、マカオ半島のギアの丘(松山)に位置する史跡「松山軍用隧道(…
  5.  マカオ政府衛生局(SSM)は11月22日夜、同日マカオ域内で輸入性デング熱感染を新たに1例確認し…

ピックアップ記事

  1.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  3.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年12月号
(vol.138)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun