マカオのカジノ全面禁煙化2年目にあたる2020年通期の違法喫煙取り締まり状況公表…コロナ禍で検挙数4割超の減少に
- 2021/1/12 14:16
- 社会・政治
世界的な健康意識の高まりを受け、マカオでは屋内公共エリア及び公園などの大半を禁煙とする「新禁煙法(喫煙予防及びコントロール法)」が2012年1月1日から施行され、市内ではマカオ政府衛生局(SSM)の法執行官(禁煙Gメン)が昼夜を問わず巡回取り締まりを行っている。
その後、2018年1月に改正法が施行となり、マカオ国際空港とカジノに設置された喫煙所を除く屋内パブリックエリアを全面禁煙としたほか、屋外に関してもバス停・タクシー乗り場の周囲10メートルを新たに禁煙ゾーンに設定。コンビニエンスストア、スーパーマーケット、新聞スタンド等の店頭におけるたばこ製品の公開陳列が禁止となり、禁煙ゾーンにおける違反喫煙に対する罰金が従来の2.5倍に相当する1500マカオパタカ(日本円換算:約2万円)になるなど、各種罰金が大幅に引き上げられた。また、昨年(2019年)1月からはカジノフロアの全面禁煙化が実施され、電子たばこ製品の販売も禁止された。
マカオのカジノ施設は、2014年10月6日からハイローラーと呼ばれる大口ギャンブラーを対象としたVIPルームが分煙、平場にあたるマスゲーミングフロアが全面禁煙となり、マスゲーミングフロアには喫煙ルームが設置された。2019年1月からはカジノフロアの全面禁煙化がスタート。喫煙はマスゲーミングエリア(いわゆる平場)とVIPルームのそれぞれに設置された政府認可済みの新基準をクリアした高規格の喫煙ルーム内でのみ可能となっている。
カジノフロア内については、SSMとカジノ監理当局にあたるDICJが合同で取り締まりを行っている。SSMが1月11日に発出したプレスリリースによれば、カジノ全面禁煙化2年目にあたる昨年通期(2020年1〜12月)の2部局による合同巡回場所は前年同時期から65.4%減の延べ409箇所、違反者は88.0%減の延べ165人(うち64.2%がインバウンド旅客)だった。前年同時期から巡回場所と違反者の数が大幅に減少した理由として、カジノ施設でも厳格な防疫措置が講じられ、限定的な営業を余儀なくされていること、水際措置強化によるインバウンド旅客数の大幅減によってカジノ入場者数が低迷したことなどが挙げられる。
昨年通期の禁煙Gメンによる巡回場所は45.5%減の延べ18万2220箇所(1日平均延べ498箇所)、違反検挙数は44.4%減の2368件。このうち、禁煙ゾーンでの違法喫煙行為が2345件で、違反場所については公園・ガーデン・休憩ゾーンが最も多く、全体の17.1%を占めた。次いで、飲食店(12.4%)、商店・ショッピングセンター(12.2%)。通常はカジノの割合が最も高いが、新型コロナの影響で変化が生じたものとみられる。
新基準をクリアした高規格喫煙ルームの申請・認可状況は、昨年12月31日までに40のカジノ施設から853室の申請があり、同日までに40のカジノ施設の750箇所を認可したとのこと。
マカオでは増税によるたばこ製品の値上げや免税持ち込み範囲の縮小などの施策も相次いで講じられおり、愛煙家を取り巻く環境は厳しさを増している。
SSMでは、加熱式を含む電子たばこもすでに規制対象となっており、禁煙ゾーンでの使用は禁止されているとした上、電子たばこ業者がが伝統的なたばこ製品と比較して人体への健康被害が少ないなどと宣伝しているものの、電子たばこにも有害物質は含まれていると強調。市民に対し、たばこ及び各種電子たばこから距離を置くとともに、法律を遵守し、早期に禁煙に取り組むよう呼びかけた。