香港、1/24単日の新型コロナ新規感染確認数76人…九龍・佐敦の封鎖エリア内にいる7000人近くが検査受ける

 人口約750万人の香港では、昨年(2020年)11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いている。

 香港政府は1月24日夕方の記者会見で、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数が前日から5人減の76人だったと発表。内訳は市中感染が72人、輸入性が4人。市中感染のうち感染経路不明は前日から8人減の27人だった。このほか、翌日以降に感染確認となる可能性が高い陽性予備群(初歩感染確認者)は60人超とのこと。

 1月に入って以降、新規感染者が集中して確認されていることを受け、九龍半島の油麻地(ヤウマテイ)から佐敦(ジョーダン)にかけてのエリア一帯(油尖旺区)と深水埗(サムソイボウ)エリアで強制検査の対象が拡大されている。同エリアの特定区画(コア区画)居住者については感染者の有無に関係なく、それ以外については感染者が1人以上出現したビルの住民がそれぞれ対象となる。1月23日午前4時からは佐敦エリア内の一部が制限区域として封鎖された。いわゆる局地ロックダウンにあたるもので、政府が住民など制限区域内の滞在者に対する強制検査を実施し、すべての対象者が検査を終え、大まかな結果が判明するまで区域外へ出ることができない。香港で封鎖が実施されるのはコロナ流行下で初めてのケース。この日の新規感染確認者のうち23人が油尖旺区、6人が深水埗の居住者だった。佐敦の封鎖エリア内では7000人近くが検査を受けた結果、12人の感染が暫定的に確認されており、明日の数字に反映される見込み。政府は24日午後6時以降、政府支給のリストバンドを装着し、かつ陰性証明を取得済みの住民については、専用ゲート経由でエリア外との往来を認めるほか、週明けの朝の出勤に間に合うよう25日午前0時をめどに封鎖を解除する見通しを示した。

 油尖旺区のケースがクローズアップされているが、他のエリアが安全というわけでは全くない。市内各所で集団感染(クラスター)の発生や集合住宅、宿舎、高齢者介護施設等における感染連鎖も続いている状況。感染経路不明も毎日のように一定数が確認されていることから、市中に存在する無症状感染者が日常生活を送る中で感染を拡大させている可能性が指摘されている。香港は人口密度が高く、交通機関も発達しており、エリアを跨ぐ人の移動が多い土地柄。

 輸入性の4人はいずれもホームヘルパーとして働くため香港入りしたインドネシア人とのこと。

 ここまでの香港における累計感染確認数は1万0086人、退院者数は9033人、死者数は169人。

佐敦の封鎖エリア内にあるウイルス検査所を視察する香港政府政務庁の張建宗(マシュー・チャン)長官(右)=2021年1月24日(写真:news.gov.hk)

佐敦の封鎖エリア内にあるウイルス検査所を視察する香港政府政務庁の張建宗(マシュー・チャン)長官(右)=2021年1月24日(写真:news.gov.hk)

 香港政府は早期に市中感染ゼロを達成することを目標として掲げ、状況に応じた施策を打ち出している。12月下旬に英国や南アフリカで変異種のウイルスが出現し、香港にも流入したこと、クラスター及び感染経路不明事案が続いていることなどを受け、ソーシャルディスタンス措置(飲食店での同席数を2人までとし、夕食時間帯の営業を禁止するなど)及び学校の対面授業の見合わせ期間の延長、感染者が確認されたマンション・雑居ビル等を対象とする強制検査、水際対策の厳格化、密接接触者追跡センターの稼働などが進んでいる。

 一方、香港の隣にある人口約68万人のマカオでは、1月21日に約7ヶ月ぶりに新規感染確認があった。ドバイからの入境者(帰郷者)で、輸入性事例にあたる。ただし、市中感染に関しては1月23日まで300日連続ゼロ。すでに中国本土との往来制限の緩和が進み、中国本土からのインバウンド旅客が戻りつつある中でも長期にわたって市中感染ゼロを維持できていることから、域内、周辺地域、世界の流行状況に応じて迅速に防疫措置の内容を調整する方策が機能しているといえる。

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