香港、1/26の新型コロナ新規感染確認数64人…強制検査対象拡大エリアの指定増

 人口約750万人の香港では、昨年(2020年)11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いている。

 香港政府は1月26日夕方の記者会見で、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数が前日から9人減の64人だったと発表。3日連続減少。内訳は市中感染が6人減の63人、輸入性が1人。市中感染のうち感染経路不明は前日から17人減の21人だった。このほか、翌日以降に感染確認となる可能性が高い陽性予備群(初歩感染確認者)は50人超とのこと。

 1月に入って以降、新規感染者が集中して確認されていることを受け、九龍半島の佐敦(ジョーダン)エリアと深水埗(サムソイボウ)エリアの一部で強制検査の対象が拡大された。26日、強制検査対象拡大指定エリアについて、佐敦の範囲を西側と南側に延伸したほか、佐敦の北側にあたる油麻地(ヤウマテイ)エリアと同じく九龍半島の紅磡(ホンハム)エリアの一部を新たに指定した。指定エリアでは感染者が1人以上出現または汚水から採取したサンプルで陽性反応が検出されたビルの居住者全員が強制検査の対象となる。

 1月23日午前4時から25日午前3時半頃までの約2日間にわたって佐敦エリアの一部が制限区域として封鎖(局地ロックダウン)されたことが象徴するように、九龍半島の油尖旺区一帯が高リスクエリアとしてクローズアップされているが、必ずしも他のエリアが安全というわけではない。26日の感染経路不明事案の分布の大半が上述の指定エリア以外の香港各地で確認されたものだった。香港は人口密度が高く、交通機関も発達しており、エリアを跨ぐ人の移動が多いこともあり、市中に存在する無症状感染者が日常生活を送る中で感染を拡大させている可能性が指摘されている。依然として市内各所で集団感染(クラスター)の発生や集合住宅、宿舎、医療機関、高齢者介護施設等における感染連鎖も続いている状況。

 ここまでの香港における累計感染確認数は1万0223人、退院者数は9101人、死者数は172人。

記者会見に臨む香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官。背景には「パンデミックは依然深刻 全市民ステイホーム」のスローガン=2021年1月26日(写真:news.gov.hk)

 香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は26日午前、行政会議出席前に記者会見に臨んだ際、先に実施した佐敦エリアの一部を封鎖しての強制検査について、市中における感染爆発前にウイルスの伝播を遮断できたと成果を強調。今後もストリートやビル単位で同様の封鎖を実施する可能性にも言及した。

 香港政府は早期に市中感染ゼロを達成することを目標として掲げ、状況に応じた施策を打ち出している。12月下旬に英国や南アフリカで変異種のウイルスが出現し、香港にも流入したこと、クラスター及び感染経路不明事案が続いていることなどを受け、ソーシャルディスタンス措置(飲食店のイートインは1テーブルあたり2人までに制限、飲食店の夕食時間帯以降の営業禁止、バー・美容院・劇場・カラオケ店ほか多業種を対象とした閉鎖令など)、学校の対面授業の見合わせ、複数感染者が確認されたマンション・雑居ビル等を対象とする強制検査、水際対策の厳格化、密接接触者追跡センターの設置などが進んでいる。26日、衛生当局は依然として新型コロナの域内における流行が深刻な状況とし、ソーシャルディスタンス措置を2月3日まで再延長すると発表した。同措置はこれまでも延長を繰り返している。

 一方、香港の隣にある人口約68万人のマカオでは、1月21日に約7ヶ月ぶりに新規感染確認があった。ドバイからの入境者(帰郷者)で、輸入性事例にあたる。ただし、市中における感染確認に関しては1月26日まで303日連続ゼロ。すでに中国本土との往来制限の緩和が進み、中国本土からのインバウンド旅客が戻りつつある中でも長期にわたって市中感染ゼロを維持できていることから、域内、周辺地域、世界の流行状況に応じて迅速に防疫措置の内容を調整する方策が機能しているといえる。

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