マカオ、独ビオンテック製新型コロナワクチン「Comirnaty」の接種を一時中止…キャップ部に欠陥との通知受け

 マカオでは、2月9日から新型コロナワクチンの接種がスタート。すでに接種対象は全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)及びマカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う非居民の学生らへも拡大されている。

 現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(欧州製)の2種。接種希望者は2つのワクチンの中から自由に選択することができる。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月24日朝、独ビオンテック製のmRNAワクチン(製品名:Comirnaty)の接種を同日から一時中止すると発表。

 同センターによれば、複星実業(香港)社からマカオ衛生局に「独ビオンテックが生産したmRNA新型コロナワクチンComirnatyのバッチナンバー210102(有効期限:2021年6月)でキャップ部分に関連するパッケージングの欠陥が複数見つかり、ビオンテックと複星意訳がこの問題に関する原因調査に着手済みで、すぐに接種を中断する必要がある」とする書面による通知があったとのこと。マカオには2月27日に第一便の10万回分が到着しており、すべてこのバッチナンバーに該当するという。

 同センターでは、これまでにビオンテックと複星医薬側から製品の安全性に関するリスクが存在するという説明はないが、接種の安全性を確保する予防的措置として、慎重を期すため調査期間中について同バッチナンバーのワクチン接種は一時中止しなくてはならないとした。3月24日以降に同ワクチンの接種予約をしている人については、接種会場に行く必要はないとのこと。

マカオへ到着した独ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」の第一便=2021年2月27日、仁伯爵綜合醫院(写真:GCS)

 同センターが3月23日夜に発表した資料によれば、同日午後4時までに接種予約を済ませた人は延べ7万9766人おり、このうちすでに接種を受けた人は3万9257人とのこと。マカオの人口は約69.3万人で、予約を済ませた人の割合は約11.5%となる。

 なお、マカオではワクチン接種は希望者のみを対象としている。費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3400円)となる。政府はポルトガル系のフィデリダーデ・マカオ社と不良副反応・副作用に関する保険契約も締結済みで、保障期間は接種後90日間、補償額は1人あたり最大100万マカオパタカ(約1360万円)とのこと。

 ここまでのマカオにおける新型コロナの感染確認数は累計48人。内訳は域外からの輸入性が46人、輸入関連性事案が2人。市中感染例は3月23日まで359日連続ゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況。院内感染、死亡例についてもゼロ。

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