マカオ、393日連続で新型コロナ市中感染例なし…累計患者数49人、死亡例ゼロ=ワクチン接種率は9%
- 2021/4/27 8:40
- 社会・政治
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは4月26日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて393日連続ゼロとなった。輸入性事案は19日連続ゼロ。
これまでの累計感染確認者(患者)数は49人で、47人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを維持している。
目下、新型コロナ指定医療機関の収容者数は2人。内訳は輸入性無症状感染者が1人(海外で感染したがマカオ入境後に初めて正式に感染確認されたため輸入性に列せられた再陽性事案)、再陽性者が1人(海外での感染確認歴を有するマカオ居民の帰国者)。いずれも発熱やその他の症状はないという。
マカオでは、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、昨年7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。外国人の入境禁止措置も継続中(3月16日からマカオで発給されたビザを利用して中国本土を訪れた場合の再入境は措置の対象外に)。中国本土との往来制限緩和後も市中感染は出現しておらず、各種防疫措置が機能しているといえる。
マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、3月9日からマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへ、4月9日からは海外労働やの家族、領事職員、就労ビザが切れたものの帰国できず滞在している人など上記以外の合法的常住者(過去6ヶ月内の過半をマカオに滞在した上で条件を満たした場合)へも拡大されている。現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(ドイツ製)の2種。
26日午後4時までの累計ワクチン接種予約者数は延べ15万6510人で、接種人数は6万2155人、2回目の接種を済ませた人は3万3474人。ワクチン接種率は約9%にとどまっており、政府は満足できる水準ではないが、近日はワクチン接種予約が増加傾向にあり、接種意向が日に日に高まっているのを反映しているとした。今後、大学や大規模企業を対象に出張接種を展開するほか、接種会場を複数の私立医療機関にも拡大する方針。
ワクチン接種後の異常については、累計で427件報告されており、めまいや微熱など軽微な事案が425件、重大な事案が2件(いずれもビオンテック製ワクチンの接種者)。重大な事案の1件目は左胸痛を訴えた後に急性冠症候群の疑いと診断されたもの(3月10日公表)だが、その後の専門家らによる分析で接種との因果関係なしと判断された。2件目は顔面神経麻痺が出現したもの(4月16日公表)で、因果関係については専門家による分析を経て判断される予定。
マカオ政府はシノファーム製、ビオンテック製に加え、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)の計150万本を確保済み。アストラゼネカ製のワクチンについては、現状の接種の進行状況と2種のワクチンの在庫及び供給予定を鑑み、年内の供給を見合わせることを発表済み。
なお、ワクチン接種はあくまで希望制であり、在庫がある状況下において複数のワクチンの中から自由に選択できるとされている。接種費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3300円)となる。
マカオ政府が確保したワクチンはいずれも2回接種が必要なものだが、マカオの総人口は約69万人のため、充足しているといえる。
このほか、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう昨年1月下旬からスタートしたマスク有償配給制度について、4月27日から29回目のマスク販売期をスタートすることも発表された。第19回までが10日に一度だったが、第20回以降は30日間の実施となっており、30枚1組で24マカオパタカ(日本円換算:約320円)。1枚あたり単価は初回から変わっていない。初回から現在進行中の第28回までの累計販売枚数は約1億9800万枚に上るとのこと。