マカオ、435日連続で新型コロナ市中感染例なし…広東省の再流行に警戒、全市民PCR検査実施の可能性も
- 2021/6/8 8:47
- 社会・政治
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。
近日、マカオに隣接する広東省において再流行が出現し、特に広州市及び仏山市で状況の悪化が進んでいることから、矢継ぎ早に水際措置の強化が図られている状況。広州・仏山両市への不要不急の渡航の一時見合わせるよう呼びかけも行われている。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月7日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて435日連続ゼロとなった。輸入性事案は13日連続ゼロ。
これまでの累計感染確認者(患者)数は51人で、49人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを維持している。
目下、入院患者数はゼロで、患者51人全員が治癒し退院済み。コロアン島にある公共衛生臨床センター(新型コロナ指定医療機関)において患者1人(5月16日に輸入性無症状再陽性として新規感染確認されたネパールからの入境者)が治療を受けているほか、高リスク地域からの入境者7人が医学観察(隔離検疫)中。加えて、7日時点で1562人が政府指定ホテルで隔離検疫中。
目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限が維持されているが、中国本土でも概ね状況が落ち着いたことを受けて、昨年7月中旬以降、両地間の往来制限が段階的に緩和された。同年9月下旬までに中国全土で訪マカオ許可(観光ビザに相当)の申請・発給が再開され、一部の「中リスク地域」を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明取得などの条件を満たせば隔離検疫なしでの往来が可能となっている。中国本土との往来制限緩和後もマカオでは市中感染ゼロを維持できており、各種防疫対策が機能しているといえる。
中リスク地域の指定は市中感染例の出現状況に応じて随時アップデートされ、マカオ入境前14日内に滞在歴がある場合、マカオ到着後、政府指定場所(ホテル)で14日間の医学観察(強制隔離検疫)を受けることが必須で、さらに隔離検疫満了後も14日間の自己健康管理期間として個人防疫対策を講じることが求められる。
近日はマカオから近く、往来も盛んな広東省の主要都市における状況が深刻化しており、中リスク地域指定の追加が続いている。加えて、8日午前10時から広東省とマカオの間を往来するすべての人に対し、48時間以内の新型コロナPCR検査陰性証明の提示を必要とする措置が講じられる。
マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、3月9日からマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへ、4月9日からは海外労働やの家族、領事職員、就労ビザが切れたものの帰国できず滞在している人など上記以外の合法的常住者(過去6ヶ月内の過半をマカオに滞在した上で条件を満たした場合)へも拡大されている。現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(ドイツ製)の2種。
7日午後4時までの累計ワクチン接種回数は20万9051回で、接種人数は13万7338人。内訳は、1回目の接種を済ませた人が6万4575人、2回目の接種を済ませた人が7万2763人。
ワクチン接種後の異常については、累計で855件報告されており、めまいや微熱など軽微な事案が852件、重大な事案が3件。
マカオ政府はシノファーム製、ビオンテック製に加え、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)の計150万本を確保済み。アストラゼネカ製のワクチンについては、現状の接種の進行状況と2種のワクチンの在庫及び供給予定を鑑み、年内の供給を見合わせることを発表済み。
なお、ワクチン接種はあくまで希望制であり、在庫がある状況下において複数のワクチンの中から自由に選択できるとされている。これまでのところ、シノファーム製が84%とのこと。接種費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3300円)となる。
マカオ政府が確保したワクチンはいずれも2回接種が必要なものだが、マカオの総人口は約68万人のため、充足しているといえる。
この日の会見では、マカオにおけるワクチン接種率はようやく20%台に達したが、免疫の壁を構築するという目標に対して依然として大きな距離があるとし、市民に対して速やかに接種を受けるよう呼びかけがなされた。
このほか、近日の広東省における再流行の深刻化を受け、今後状況に応じてマカオの全市民を対象としたPCR検査の実施を含むより強力な防疫措置を講じる可能性があることも明らかにされた。全市民に対するPCR検査を実施する場合、域内に30ヶ所の検査スポットを設け、24時間稼働を前提に4日以内で完了できる計画とした。