マカオ居民の6割超が新型コロナワクチン接種意向…マカオ大学調査

 人口約68万人のマカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。

 その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、3月9日からマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへ、4月9日からは海外労働やの家族、領事職員、就労ビザが切れたものの帰国できず滞在している人など上記以外の合法的常住者(過去6ヶ月内の過半をマカオに滞在した上で条件を満たした場合)へも拡大されている。

 現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(ドイツ製)の2種。

 接種対象年齢は不活化ワクチンが「18歳以上かつ60歳未満及び健康状態が良好で暴露リスクが比較的高い60歳以上の者」、mRNAワクチンは当初は下限年齢が「16歳以上」だったが、6月18日から「12歳以上」に引き下げられた。18歳未満の未成年者が接種を受ける場合は保護者の承認が必要。

 マカオは早い段階で新型コロナの封じ込めに成功。6月21日まで449日連続で市中感染確認ゼロが続いている。輸入及び輸入関連性の感染確認例は53人いるが、死亡者は出ておらず、院内感染も発生していない。

 マカオにおける新型コロナワクチンの接種状況は、21日午後4時時点で1回目接種済みが12万0594人、2回目接種済みが8万88756人となっている。域内の状況が安定しており、切迫性がないことなどから接種率は2割程度に低迷しているが、5月下旬にマカオと近接する広東省で再流行が出現したことを受け、このところは接種者が増えているという。マカオ政府は免疫の壁を構築するため、速やかに接種を受けるよう呼びかけており、接種会場を増やしたり、1日あたり接種キャパシティを増やすとともに、大学や企業等への出張接種の展開も行っている。

 マカオ大学中華医薬研究院の研究チームは6月21日、マカオ居民を対象とした新型コロナワクチン接種意向に関する調査結果を公表した。

 調査は今年(2021年)5月にインターネットアンケート形式で実施し、552件の有効回答があったとのこと。

 調査結果によれば、62.3%が接種意向を示し、8割超が接種アレンジを便利と思う、7割が接種は地域社会における伝播リスク減少に役立ちかつ社会的責任と思うと回答。

 一方、37.7%が接種を躊躇または接種に対して否定的な態度を示しており、このうち49.5%が外遊予定がない、約3割5分が重篤な副反応に対する心配があることを理由として挙げたという。

 研究チームでは、接種アレンジの利便性の一層の向上、社会的責任感の醸成、適切なインセンティブを導入することが接種意向にプラス作用をもたらす要素となるが、重篤な副反応への懸念とワクチン関連情報ソースのオンライン偏重が接種判断にネガティブな影響を与えていることがわかったと総括した。

 なお、マカオ衛生当局は免疫の壁を構築するには接種率8割程度が必要としている。

マカオ居民の新型コロナワクチン接種意向調査を実施したマカオ大学中華医薬研究院の研究チーム(写真:University of Macau)

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