香港・マカオ両政府、隔離検疫免除の相互往来に関する協議続行…香港の市中感染確認28日連続ゼロ達成前に実現の可能性も

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月28日午後5時(現地時間、以下同)から記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて456日連続ゼロとなった。

 これまでの累計感染確認者(患者)数は54人で、52人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを維持している。

 6月28日時点の入院患者数は3人で、すでに51人が治癒し退院済み。コロアン島にある公共衛生臨床センター(新型コロナ指定医療機関)に患者3人(いずれも無症状)、海外で感染歴があり再陽性が出現した1人、海外の高リスク地域から入境し抗体検査で陽性が確認された14人、密接接触者6人が治療及び医学観察(隔離検疫)のため収容されている。

 目下、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限が維持されているが、中国本土でも概ね状況が落ち着いたことを受けて、昨年7月中旬以降、両地間の往来制限が段階的に緩和された。同年9月下旬までに中国全土で訪マカオ許可(観光ビザに相当)の申請・発給が再開され、一部の「中リスク地域」を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明取得などの条件を満たせば隔離検疫なしでの往来が可能となっている。中国本土との往来制限緩和後もマカオでは市中感染ゼロを維持できており、各種防疫対策が機能しているといえる。5月下旬に広東省で再流行が出現したことを受け、中リスク地域の指定が相次いだ。近日は終息に向かっているものの、28日時点でも省内の広州市、仏山市、東莞市、深セン市の一部などがマカオ入境時に隔離検疫が必要となる中リスク地域に指定されている。

 香港では、昨年11月から続いた流行第4波が5月下旬に終息。マカオ政府はかねてより両地間の往来制限緩和に関する正式協議入りの条件として「香港における市中感染確認14日連続ゼロ」を掲げていたが、21日に達成された。これを受けて、同日マカオ・香港両政府がテレビ会議を開催し、両地における状況が安定している前提において、かつ一定の条件の下、隔離検疫免除での相互往来を再開することで暫定的な合意に至ったことを発表。合意内容として、香港で28日連続市中感染確認ゼロとなった時点でスタートし(註:早ければ7月2週目頭)、段階を設け、各段階ごとに人数を制限する方向で(渡航目的による優先対象を設定することについても考慮)、隔離免除となる条件については、十分な安全性を確保するため、新型コロナワクチン接種を完了していること(身体的な理由により接種できない人への例外規定も考慮)、マカオ訪問前またはマカオ到着後に複数回の新型コロナPCR検査の受検を必要とし、すべての検査結果が陰性と確定するまで市中における活動を制限することを挙げた。また、状況に応じた中断メカニズムを設け、隔離検疫措置を再び講じる余地も残すとした。

 ただし、24日に17日ぶりとなる市中感染確認(感染経路不明、デルタ株感染)があり、27日にはこの患者の密接接触者1人が新たに感染確認され、先行きが不透明な状況となっている。

 この日の記者会見において、本件に関するアップデートも発表された。香港当局との間で本件の実施プランに関する協議を進めているが、具体的な実現スケジュールについては現時点で決まっていないとのこと。近日香港で感染源が同じ2つの感染確認例があったが、仮にこの事案が輸入関連性のものであり、市中における伝播がないとすれば、実情に即して「市中感染ゼロ」の計算方法を調整する余地もあり、必ずしも28日連続してゼロを維持する必要はないとの見方を示した。

 一方、広東省との往来制限の緩和については、深セン市や東莞市で潜伏期間が短い上に伝播スピードが早く、ウイルス量も多いことが特徴の変異株「デルタ株」の市中感染確認があり、これが広州において厳重な流行をもたらしたことを考慮すれば、短期的な制限緩和は適切ではないとした。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる合同記者会見=2021年6月28日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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