マカオ、6月カジノ売上は大幅下落に転じる…20年9月以来最低に=広東省の新型コロナ再流行受けての往来制限影響か

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は7月1日、今年(2021年)6月のマカオの月次カジノ売上(Gross Gaming Revenue=GGR)について、前年同月から812.5%増、前月から37.4%減となる65.35億マカオパタカ(日本円換算:約904億円)だったとする最新統計を公表。

 前年同月比では5ヶ月連続でプラスを維持したものの、前月比では4ヶ月ぶりに下落となり、昨年9月以来の最低に。

 マカオでは、昨年1月下旬から現在に至るまで入境制限を含む厳格な水際措置が講じられており、平年と比較してインバウンド旅客数が大幅に落ち込んでいる。ただし、昨年第3四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進み、カジノ売上の回復につながった。しかしながら、今年5月下旬にマカオと隣接する中国広東省で新型コロナの再流行が出現したことを受け、両地の往来に関する入境制限を含む各種水際措置が強化されたことによるインバウンド旅客減が6月の売上に影響したものとみられる。

 6月の1営業日あたりの平均売上は2.18億マカオパタカ(約30.2億円)にとどまった。ここまでの推移は、昨年2月(2月5〜19日の休業期間を除く14日間)2.22億マカオパタカ(約30.7億円)、3月1.70億マカオパタカ(約23.5億円)、4月0.25億マカオパタカ(約3.5億円)、5月0.56億マカオパタカ(約7.8億円)、6月0.23億マカオパタカ(約3.2億円)、7月0.43億マカオパタカ(約6.0億円)、8月0.43億マカオパタカ(約6.0億円)、9月0.74億マカオパタカ(約10.2億円)、10月2.35億マカオパタカ(約32.5億円)、11月2.25億マカオパタカ(約31.1億円)、12月2.52億マカオパタカ(約34.9億円)、今年1月2.59億マカオパタカ(約35.8億円)、2月2.61億マカオパタカ(約36.1億円)、3月2.68億マカオパタカ(約37.1億円)、4月2.80億マカオパタカ(約38.7億円)、5月3.37億マカオパタカ(約46.6億円)。昨年第2四半期が底で、以降は今年5月にかけて回復が進む様子が見てとれる。

 今年1〜6月累計のカジノ売上は前年同時期から45.4%増の490.23億マカオパタカ(約6783億円)。

 DICJは新型コロナ防疫体制下におけるカジノ営業にあたって運営会社に対して従業員及びゲストの健康を最大限保護することなどを求めており、ゲーミング(カジノ)テーブル間の距離の確保、テーブルゲームでは隣席を空ける対応(例えばバカラテーブルでは1テーブルに同時に着席できるのは3〜4人)、スロットマシンについても1台または2台おきの稼動と定められ、交差感染リスク軽減が図られている。チップ等のゲーミング用品に対する消毒も強化実施されている。再開したといっても、あくまで限定的ものだ。

 また、ゲストは入場時にマスクの着用、検温、有効な健康コード(衛生当局の専用サイト上で直近の滞在歴、新型コロナ患者との接触歴の有無、発熱や咳といった症状の有無、連絡先を入力して生成されるQRコード)の提示が義務付けられている。3月3日から新型コロナウイルス核酸検査陰性証明書(マカオまたは広東省の認可施設が発出した有効期間内のものに限る)の提示を必須とする措置は撤廃された。

 なお、昨年通期のカジノ売上は前年から79.3%減の604.41億マカオパタカ(約8363億円)で、2年連続前年割れ。マカオ政府の2021年度財政予算におけるカジノ売上見込みは1300億マカオパタカ(約1兆7988億円)。半年を終えた時点での達成率は37.7%にとどまっている。

 目下、広東省における再流行は終息に向かっているものの、水際措置の緩和には至っておらず、7月のカジノ売上についても回復は見通せない状況。一方、香港では流行第4波が5月末までに終息し、その後の状況も落ち着いている。マカオ・香港両政府は隔離検疫なしでの往来再開に向けた協議をスタートしており、7月中にも実現する可能性があり、カジノ売上に対する底上げ効果も期待される。

【資料1】2021年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:80.24億マカオパタカ=約1110億円(63.7%減)
・2月:73.12億マカオパタカ=約1012億円(135.6%増)
・3月:83.06億マカオパタカ=約1149億円(58.0%増)
・4月:84.01億マカオパタカ=約1162億円(1014.4%増)
・5月:104.45億マカオパタカ=約1445億円(492.2%増)
・6月:65.35億マカオパタカ=約904億円(812.5%増)
>1〜6月累計:490.23億パタカ=約6783億円(45.4%増)

【資料2】2013年〜2019年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億マカオパタカ=約4兆9916億円(18.6%増)
・2014年:3515.21億マカオパタカ=約4兆8654億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億マカオパタカ=約3兆1951億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億マカオパタカ=約3兆0895億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億マカオパタカ=約3兆6782億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億マカオパタカ=約4兆1917億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億マカオパタカ=約4兆0479億円(3.4%減)
・2020年:604.41億マカオパタカ=約8363億円(79.3%減)

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は11月21日、他人の身分証を使用してカジノへ入場した上、賭博で獲得した得たポイ…
  2.  冬のマカオの街を美しく彩る毎年恒例のイルミネーションイベント「ライトアップマカオ2024(中国語…
  3.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は11月21日、今年(2024年)10月の訪マカオ外客数(…
  4.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営する澳門輕…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  4.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  5.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年12月号
(vol.138)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun