マカオ、内装工事現場でクラスター発生…感染経路不明=市中感染確認相次ぎ三度の全市民対象PCR検査展開

 マカオでは、約490日にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持してきたが、8月初旬に出現して以降、連鎖的な市中感染確認が相次いでいる。

 8月上旬のケースは、中国・江蘇省の南京空港で発生したクラスターに端を発するもの。学校行事で中国本土へ出かけた女学生が最初に感染し、家族に伝播したが、感染確認は一家4人にとどまった。その後、9月下旬にタイパ島のマカオ国際空港近くにある隔離検疫用ホテルの警備員の間でクラスターが発生。一部の警備員がマスクを正しく着用せずに隔離検疫中に感染確認されたトルコからの入境者と接触したことで感染し、更衣室で他の警備員に伝播したものとみられる。このケースでは、これまでに6人が感染確認されており、現在もホテルは閉塞管理状態にある。上記の2つのケースについては、感染経路が判明しており、いずれもデルタ株によるものだった。市中への伝播の有無をスクリーニングする目的で、二度にわたって全市民を対象としたPCR検査が展開されたが、いずれも結果は全員陰性だった。

 9月下旬の全市民対象PCR検査結果が全員陰性だったことを受け、10月4日から学校の再開及び広東省珠海市との間の往来制限緩和が予定だったが、同日早朝に新たな市中感染確認例が出現し、状況が一変。学校再開と珠海との往来制限緩和が直前で先送りに。

 マカオでは、10月3日に珠海との間の往来制限緩和が発表された後、中国本土へ入境する際に必要となる「48時間以内のPCR検査陰性証明」を取得のため、多くの人がPCR検査会場を訪れることとなり、終夜対応も含む臨時検査会場も急きょ用意された。

 このような状況の中、3日夜に検査を受けた人の中から、4日早朝に初歩検査結果が陽性となった人がいることが判明し、反復検査を経て正午前に正式に1人の感染確認が発表されるに至った。

 患者はマカオで内装工として就労する中国本土出身の男性で、感染経路は不明。その後、5日朝までに患者と同じ内装工事現場で働く3人(中国籍の男性1人、ベトナム籍の男女各1人)の感染が相次ぎ確認されている。この内装工事現場のクラスターについては、先の2つのケースと異なり、これまでのところ感染経路が明らかになっておらず、衛生当局が調査を進めているとしている。

マカオで展開中の第三次全市民対象PCR検査会場の様子=2021年10月4日夜(写真:GCS)

 マカオ政府は、10月4日に新たな感染確認例が出現した直後、同日午後9時から72時間にわたって三度目となる全市民対象PCR検査を展開すると発表。政府新型コロナウイルス感染症対策センターによれば、5日午前9時(開始後12時間)までに14万4565人のサンプルを採取し、うち7万7317人分の結果が判明済みで、すべて陰性だったとのこと。

 直近のクラスターが感染経路不明であることなどから、政府は市中における伝播の可能性も否定できないとし、市民に対して家中にとどまるよう、再三の呼びかけを行っている。市内における人の流動を減らす動きの一環として、公共部門の公務員の一部に5日から3日間の出勤をストップする通達も出された。

 マカオの人口は約68万人。これまでの累計感染確認者数は輸入性を含めて75人で、市中における大規模な伝播は出現していない。

マカオで展開中の第三次全市民対象PCR検査会場の様子=2021年10月4日夜(写真:GCS)

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