中国本土の新型コロナ再流行が11省区市に波及…シルクロード観光客の移動で拡散か

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功したが、以降も局地的な市中感染確認例が度々出現している状況。

 最近では、雲南省のミャンマー国境付近での市中感染確認が続くほか、7月下旬には江蘇省南京市の南京空港で感染力の強いデルタ株のクラスターが発生して各地へ波及するなどの事案があり、9月上旬には福建省の一部でデルタ株の市中における伝播が出現、同月下旬には黒竜江省ハルビン市でもデルタ株の市中感染確認例が出現した。さらに、近日は内陸部のシルクロード観光エリア一帯を訪れた国内団体旅行客をきっかけとした伝播の拡大が続く状況。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が10月25日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、24日の中国本土における新規市中感染確認は35人(前日から9人増)だったとのこと。内訳は、内モンゴル自治区19人(アルシャー盟18人、シリンゴル盟1人)、貴州省4人(遵義市)、甘肅省4人(蘭州市3人、嘉峪関市1人)、北京市2人(昌平区、海淀区)、河北省2人(ケイ台市)、湖南省2人(長沙市)、陝西省2人(西安市)。このうち河北省の2人、湖南省の2人、貴州省の1人は無症状から感染確認に転じたもの。中国本土で市中感染確認例が出現するのは9日連続。市中の無症状感染例についても10日連続で出現し、北京市1人(豊台区)、四川省1人(自貢市)、雲南省1人(徳宏タイ族チンポー族自治州)の計3人だったという。

 10月24日24時時点の中国全土で治療中を受けている感染確認者数は573人(うち輸入性が383人)で、重症者は20人(輸入性ゼロ)。無症状の患者380人(輸入性348人)が医学観察下にあるという。

 NHCは10月24日に会見を開催。近日多くの地域で市中感染例が散発し、自体は急展開の様相を呈しており、1週間のうちに11の省区市に波及したが、感染者の多くが観光のためエリアを跨いで移動していたことから、今後も影響が拡大するリスクがあるとの見方が示された。今回の再流行はデルタ株によるもので、感染力が非常に強いとのこと。感染源については、中国本土でこれまでに確認されたものではなく、新たな輸入性のものとみられるとした。これまでに感染確認例が出現した地域を中心に、防疫措置の引き締めが進んでいる。中でも、内モンゴル自治区のエジン旗では、25日午前0時から住民及び当地を訪問中の観光客含む全員を外出禁止とし、自宅あるいは滞在先で検疫を行う緊急公告が発出された。

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。今年5月下旬に広東省で発生した大規模再流行、7月下旬に南京空港で発生したクラスターに端を発し10を超える省市とマカオへ波及した再流行、9月上旬に福建省のホ田市からアモイ市など省内の大都市に波及した約470人規模の再流行、9月下旬に黒竜江省ハルビン市を中心に出現した約90人規模の再流行についてもデルタ株によるものだが、それぞれ約1ヶ月で封じ込めに成功した実績がある。9月の福建省と黒竜江省のケースは、いずれも一部地域にとどまり、省外への拡散は確認されていない。

 このほか、マカオ特別行政区では24日まで15日連続市中感染確認例ゼロ、香港特別行政区でも同16日連続ゼロを維持した。

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

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