人口約740万人の香港では、昨年（2020年）11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、5月にかけてようやく状況が落ち着き、5月末に終息した。

　6月以降は、上旬に1家族の女性3人の市中感染例、24日と27日にかけて空港での業務に従事する男性1人とその密接接触者の1人、7月2日に検疫用ホテルの清掃作業員の女性1人、11日に空港での業務に従事する男性1人の輸入関連性感染確認例（いずれも当初市中感染例からの変更）、8月5日には建設作業員（感染経路不明、これまで感染確認に至らなかった無症状感染者の再陽性事例）、8月17日に空港ラウンジ職員（感染経路不明、L452R変異株）、10月8日に空港カーゴ部門従事者（感染経路不明、L452R変異株）の市中感染確認があったが、市中における連鎖的な伝播は出現していない。

　香港衛生当局の発表によれば、12月13日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は2人で、いずれも輸入性（海外からの入境者）だったとのこと。市中感染確認例に限ると66日連続ゼロを維持した。

　輸入性の患者は12月7日にパキスタンから（アラブ首長国連邦経由）、12月10日にタンザニア・南アフリカ・ケニアから（カタール経由）空路それぞれ香港に到着。いずれも新型コロナワクチンを2回接種済みで、アフリカから到着の患者はL452R変異株感染、パキスタンから到着の患者については変異株の有無を調べる検査結果待ち。

　香港における過去14日間（11月29日〜12月12日）累計の新規感染確認は61人で、すべて輸入性事案。ここまでの累計感染確認数は1万2491人（擬似事案1人含む）。

　香港の12月13日午後7時時点のワクチン接種率は71.5%（1回目の接種完了）、68.1%（2回目の接種完了）となっている。累計接種回数は966万3557回、1日あたり接種回数は1万5732回（7日移動平均値1万5148回）。香港ではワクチンが充足している状況で、政府は9月末までに免疫の壁を構築するのに必要とする目標の接種率7割（1回目接種完了）を突破できるとする見通し示していたが、9月以降は接種回数の低迷が顕著で、11月23日にようやく達成された。なお、11月11日から3回目の接種（ブースター接種）がスタートし、上述の接種回数には3回目も含んだものとなっている。3回目の累計接種回数は26万6453回。

　香港衛生当局では、新型コロナの世界的な流行は依然として非常に深刻な状況にあり、より感染力の強い変異型ウイルスの症例が増加、またワクチンを接種した人の感染報告もあるとし、不要不急の外遊（特に高リスク地域）よう強く呼びかけている。

　このほか、香港衛生当局は12月13日、香港で新たに2人のオミクロン変異株の感染者が確認されたことを明らかにした。いずれも12月10日に英国からキャセイパシフィック航空CX252便で香港に到着し、香港国際空港到着後すぐの検査で陽性となり感染確認された後、ウイルスゲノム解析を経てオミクロン変異株だったことが判明したもの。容体については、無症状という。これまでに香港で確認されたオミクロン株感染者は累計7人となり、全て空港または隔離検疫用ホテル内の検査で確認されたケース。

香港国際空港（資料）－本紙撮影